髪は毒素の排泄器官
「髪の毛」はこわいぐらいにその人の体内環境をものがたります。
人間の頭皮には、平均して10万本もの毛が生えるといわれ、その正体は、「皮膚の一部」が変化したもので、主成分は肌と同じケラチンというタンパク質です。
毛根にある毛母細胞が皮膚の中のケラチンを取り込み、細胞分裂を繰り返しながら髪の毛が伸びていくというメカニズムです。
このことからもわかる通り、毛髪の生成や成長に関わるのは、あくまで皮膚の中にある毛根部(もっと詳しくいえば毛球部)で、目に見える髪の毛はすでに死んだ細胞ということになります。
ただし、この死んだ細胞が、健康のバロメーターとしていろいろな情報を伝えてくれます。
まず、毛髪の状態からダメージがわかり、「髪にハリ・コシがない」「抜け毛が多い」「白髪」「パサつく」「枝毛が多い」などのトラブルがあれば、これを目安に、日々のケアや、さらには食生活や睡眠などライフスタイルを見直すことができます。
また、毛髪には血液中の有害重金属などの毒素を排泄する役目があります。
科学的に分析すると、毛髪中の水銀濃度など有害ミネラルの量を検出することもでき、体内の汚染状況を知ることができます。
「毛髪ミネラル分析」による有害ミネラルの検査というものがあり、髪は身体の状態を記録した履歴書と同じで、髪の毛を調べれば、体内の有害ミネラル汚染度の目安となる排泄量がひと目でわかるのです。
毛髪ミネラル分析は、アメリカなどを中心に30年以上の実績があり、髪は1カ月に1センチ程度伸びますから、根元から3センチほどの髪の状態を分析すれば、ここ3カ月の体の状態がわかるということです。
こうした毛髪の特徴から、昨今ではすでに亡くなった人の遺髪をDNA鑑定し、死因や病の原因を解明したり、事件の真相を探るといった試みもなされています。
たとえば、18〜19世紀に活躍した大作曲家ベートーヴェンの遺髪をアメリカの研究チームが分析したところ、驚くべき数字が導き出されました。
通常の100倍もの鉛と通常の30倍の量のヒ素、さらに相当量の水銀も検出されたそうです。
理由はさておき、難聴をはじめ数々の病に見舞われたベートーヴェンの体内は、かなり汚染されていたのかもしれません。
このことは、毛髪がまさしく体内の毒素排泄器官であることを示しているのです。
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