遺留分減殺と取得時効の判例




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遺留分減殺と取得時効の判例

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遺留分減殺と取得時効の判例

贈与がされてから20年以上経過して相続が開始し、遺留分権利者がこの贈与を民法1030条、1031条に該当する贈与としてその減殺を請求した事案で、控訴人は贈与物件の土地を贈与の日から所有の意思をもって平穏かつ公然に占有し、しかも占有のはじめに善意無過失であるから10年経過の日に、仮に善意無過失がなかったとしても20年経過の日に、これを時効取得したから被控訴人から遺留分の減殺請求を受けることはないと主張しました。

民法第1030条 贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限り、前条の規定によってその価額を算入する。当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについても、同様とする。

(遺贈又は贈与の減殺請求)
民法第1031条 遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。


裁判所は、贈与の日から20年経過の日に贈与土地の時効による取得を援用するための要件を備えたことを認めた上で、目的物の時効取得を援用することができないとしました。



本件のような遺留分減殺請求権は、贈与が遺留分を侵害するという事実及び贈与契約当事者双方による右事実の認識を要件とする形成権であるところ、受贈者である控訴人が被控訴人に対して目的物の時効取得を援用したとしても、右援用によっては、右遺留分侵害の事実等を払拭することができず、また、遺留分減殺請求権の消滅時効を来すものでもないから被控訴人による贈与の減殺を拒むことができないというべきであり、受贈者である控訴人は、被控訴人に対する関係で目的物の時効取得を援用する利益を有しないこととなる。

最高裁も受贈者の取得時効の援用について、被相続人がした贈与が遺留分減殺の対象としての要件を満たす場合には、遺留分権利者の減殺請求により、贈与は遺留分を侵害する限度において失効し、受贈者が取得した権利は右の限度で当然に右遺留分権利者に帰属するに至るのであり、受贈者が右贈与に基づいて目的物の占有を取得し、民法162条所定の期間、平穏かつ公然にこれを継続し、取得時効を援用したとしても、それによって遺留分権利者への権利の帰属が妨げられるものではないとこれを否定しています。

(所有権の取得時効)
民法第162条 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。
2 10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。


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