遺贈と推定相続人の廃除
推定相続人廃除の審判が確定すると、被廃除者は被相続人の死亡時に遡って遺産につき何らの相続権を有しないこととなります。
その結果、被廃除者の債権者が被廃除者に対する貸金債権に基づき、被相続人の死後、同人名義不動産につき共同相続人名義の相続登記、被廃除者の共有持分につき仮差押登記及び強制競売開始決定に基づく差押登記をしても、差押の対象たる権利が遡及的に消滅して、同債権者は実質的無権利者となった(推定相続人廃除の遡及効については、法定解除の遡及効に関する民法545条1項但書のように第三者との関係においてこれを制限する規定はおかれていないから、上記のように解するほかない)とされます。
(解除の効果)
民法第545条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
この場合、被相続人が他の共同相続人に本件不動産を遺贈しているときは、遺贈との関係で被廃除者の債権者は民法177条の「第三者」に当たらないとされます。
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
民法第177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
遺贈遺言の遺言執行者は第三者異議の訴えにより、被廃除者に債権者による強制執行の排除を求めることができます。
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