遺言の特殊な無効原因
民法は遺言に特殊な無効原因を規定しています。
被後見人が、後見の計算終了前に、後見人、その配偶者、直系卑属の利益となる遺言をしたときは、その遺言は無効となります。
(被後見人の遺言の制限)
民法第966条 被後見人が、後見の計算の終了前に、後見人又はその配偶者若しくは直系卑属の利益となるべき遺言をしたときは、その遺言は、無効とする。
2 前項の規定は、直系血族、配偶者又は兄弟姉妹が後見人である場合には、適用しない。
これは、後見人の被後見人に対する不当な影響を防止し、被後見人を保護するためです。
しかし、後見人が被後見人の直系血族、配偶者、兄弟姉妹であるときは、その不当な影響のおそれがないので、この場合の遺言は有効となります。
遺贈については特別の無効原因があります。
(受遺者の死亡による遺贈の失効)
民法第994条 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
2 停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
(相続人に関する規定の準用)
民法第965条 第886条及び第891条の規定は、受遺者について準用する。
相続人は相続財産につき持分を有する旨の確認を求めることができますが、即時確定の利益が認められる場合には、遺言は無効であることを確認する旨の訴えも認められています。
株主総会の議長は、公正証書遺言により株式を取得したとする株主に対し、その有効性を疑うに足りる相当な理由がある場合には、議長権限によりその議決権の行使を拒否することができるとした事例があります。
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