相続の対象とならない権利義務(死亡保険金)
養老保険契約において被保険者死亡の場合の保険金受取人が単に「被保険者死亡の場合はその相続人」と指定されたときは、特段の事情のない限り、この契約は、被保険者死亡の時における相続人たるべき者を受取人として特に指定したいわゆる「他人のための保険契約」と解するのが相当であるとされ、この場合には、当該保険金請求権は保険契約の効力発生と同時に、相続人たるべき者の固有財産となり、被保険者の遺産より離脱しているものと解するべきであるとされています。
旧商法676条2項にいう「保険金額を受け取るべき者の相続人」とは、指定受取人の法定相続人又は順次の法定相続人であって被保険者の死亡時に生存する者と解されていますが、指定受取人が死亡し、指定受取人の当時の唯一の相続人が保険契約者兼被保険者であり、その保険契約者が保険金受取人を再指定する権利を行使しないまま死亡した場合には、保険金受取人は不存在となるとして旧商法676条2項の適用、準用の主張を排して、指定受取人の死亡時における指定受取人の第三順位の相続人又はその順次の法定相続人の保険金支払請求を棄却した事例があります。
旧商法第六百七十六条
1 保険金額ヲ受取ルヘキ者カ被保険者ニ非サル第三者ナル場合ニ於テ其者カ死亡シタルトキハ保険契約者ハ更ニ保険金額ヲ受取ルヘキ者ヲ指定スルコトヲ得
2 保険契約者カ前項ニ定メタル権利ヲ行ハスシテ死亡シタルトキハ保険金額ヲ受取ルヘキ者ノ相続人ヲ以テ保険金額ヲ受取ルヘキ者トス
保険契約者Aと生命保険会社間の被保険者A、満期受取人A、死亡保険金受取人B、高度障害保険金受取人は死亡保険金受取人とする保険約款は公序良俗に反して無効であることを理由とする相続人らの遺産確認請求が棄却された事例があります。
株式会社が取締役を被保険者とする生命保険金を死亡取締役の遺族に支給する場合、旧商法296条の株主総会の決議を要するとしたうえ、支給につき実質的な株主全員の承諾があり、株主総会の決議があったものとして扱うのが相当であるとした事例があります。
旧商法第二百九十六条
会社ハ取締役会ノ決議ニ依リ社債ヲ募集スルコトヲ得
**株式会社を保険契約者、保険金受取人、従業員を被保険者とする死亡保険金が被保険者の死亡により同社に支払われた場合、会社は従業員の遺族に対して、既払い額及び保険料を控除した残額を支払うべきであるとした事例があります。
民法第896条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
生命保険契約とは
契約をする一方の者(保険者)が相手方(保険契約者)、または第三者(被保険者)の生死に関し、一定の金額(保険金)を支払うことを約束し、相手方がこれに対して報酬(保険料)を払うことを約束する契約のこと(旧商法第673条)であります。
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