相続の対象とならない権利義務(扶養)
扶養債務は純然たる過去のものであっても当事者間の協議、調停審判により、その内容が確定するまでは一身専属の抽象義務であって相続の対象とならないと解されます。
しかし、扶養審判によって形成された扶養料は金銭債権となり、審判に対する抗告事件係属中に扶養権利者が死亡したときは、審判において認定された扶養請求権の始期から死亡の日までの分についてこの債権は相続の対象になります。
民法第896条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
扶養請求調停とは
直系血族及び兄弟姉妹は相互に扶養義務がありますが,扶養を要する者(扶養権利者)と扶養義務者との間で,引取扶養や扶養料の支払などについて話合いがまとまらない場合や話合いができない場合には,家庭裁判所に扶養請求の調停又は審判を申し立てることができます。
調停手続を利用する場合には,扶養請求調停事件として申立てをします。
ほかに,直系血族及び兄弟姉妹以外の三親等内の親族に扶養義務を負わせる申立て,複数の扶養義務者がある場合にその扶養すべき順序を指定する申立てなどもできます。
調停手続では,各扶養義務者の経済状況や生活状況,扶養権利者の意向等を考慮し,当事者双方から事情を聴いたり,必要に応じて資料等を提出してもらうなどして事情をよく把握して,解決案を提示したり,解決のために必要な助言をし,合意を目指し話合いが進められます。
なお,話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には原則として自動的に審判手続が開始され,家事審判官(裁判官)が,必要な審理を行った上,一切の事情を考慮して,審判をすることになります。
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