相続財産(借地権)
甲乙らは本件借地権を相続したが、乙は共同相続人を代表し地主と賃借人を甲と限定する賃貸借契約を締結したことと、その後、遺産分割により、甲は本件借地上の南側建物を相続し、乙は同北側建物を相続したが、乙は賃貸人に対して、本件賃貸借契約の賃借人名義を甲乙連名にする申入れをしていないこと及び遺産分割による本件借地の相続関係及び地上建物の所有関係の変遷につき特に説明していないこと、本件南北建物建替の建築確認申請の際、申請書の乙は本件両土地の転借人である旨を記載した地主作成名義の土地使用承諾書を添付して提出し、また、原告に対して本件両土地の地代を送付した際には甲の代理人として署名した地代支払通知書を添付するなど、乙は対外的には本件賃貸借契約における賃借人は、甲乙の内部関係においてはともかく、賃貸人との関係においてはこれを甲とする旨合意されていたことは明らかであるから、甲乙は本訴において原告に対し、賃借人が甲乙両名である旨主張することは許されないとした事例があります。
賃貸借契約において賃借人が死亡し、数人の相続人が賃借権を相続した場合、賃貸人が債務不履行等を理由として契約を解除しようとするときは、その意思表示は相続人全員に対してしなければなりませんが、そのうち特定の相続人が賃借物件を使用し、かつ賃料を支払っていて、他の相続人が賃貸借契約に係る一切の代理権を当該相続人に授与したと見られるような特段の事情がある場合は、賃貸人は、当該相続人に対してのみ賃料支払や催告や契約解除の意思表示をすれば足りるとした事例があります。
民法第544条
1. 当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。
2. 前項の場合において、解除権が当事者のうちの一人について消滅したときは、他の者についても消滅する。
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