相続の対象とならない権利義務(国民年金)
国民年金法に基づく年金受給権を有する者が国に対して未支給年金の支払を求める訴訟の係属中に死亡したので、その相続人が同法19条1項の規定により老齢年金請求権を取得し、原告たる地位を当然に承継したと主張しましたが、規定は相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金の支給を認めたものであり、死亡した受給権者が有していた年金給付に係る請求権が同条の規定を離れて別途相続の対象となるものではなく、遺族は国民年金法に基づき社会保険庁長官に対する支給請求をしたうえで、必要があればこれに対する処分を争うべきものであって、上告人が亡き原告の本件訴訟上の地位を承継することを認めることはできないとして、原告死亡により訴訟が終了したとした原審の判断及び上告人の訴訟参加の申立を却下した原審の判断を正当としました。
民法第896条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
国民年金法第19条
1 年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であつて、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。
2 前項の場合において、死亡した者が遺族基礎年金の受給権者であつたときは、その者の死亡の当時当該遺族基礎年金の支給の要件となり、又はその額の加算の対象となつていた被保険者又は被保険者であつた者の子は、同項に規定する子とみなす。
3 第1項の場合において、死亡した受給権者が死亡前にその年金を請求していなかつたときは、同項に規定する者は、自己の名で、その年金を請求することができる。
4 未支給の年金を受けるべき者の順位は、第1項に規定する順序による。
5 未支給の年金を受けるべき同順位者が2人以上あるときは、その1人のした請求は、全員のためその全額につきしたものとみなし、その1人に対してした支給は、全員に対してしたものとみなす。
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