寄与分と遺留分
遺産分割の申立と寄与分を定める審判の申立があったときは、これらの審判手続及び審判は併合してされます。
相続人が子4名の遺産分割及び寄与分を定める審判において、遺産の相続税評価額約5465万円の7割を寄与分として控除し、残額約1639万円を4分し、抗告人にはその一にほぼ合致する土地を取得させ、遺産を取得しないでもよいという2名の相続人には各50万円を寄与相続人に支払わせる審判が取消された事例があります。
この決定は、次のように判断しています。
@寄与分の制度は、相続人間の衡平を図るために設けられた制度であるから遺留分によって当然に制限されるものではないこと
A寄与分については上限の定めがないこと
B遺留分制度、寄与分制度を併せ考慮すれば、裁判所が寄与分を定めるに当たっては、他の相続人の遺留分を侵害する結果となるかどうかについても考慮すべきは当然であること
そして、この審判は、抗告人の遺留分相当額を大きく下回るものであって、寄与相続人が被相続人の遺産の維持ないし増殖に寄与したとしても、ただ家業である農業を続け、遺産たる農地等の維持管理に努めたり、被相続人の療養看護に当たったというだけでは、寄与分を大きく評価するのは相当ではなく、さらに特別の寄与をした等特段の事情がなければならないとし、その点を考慮した形跡がないので、この点をも考慮した上で寄与分を定め、遺産の分割をすべきものとしました。
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