単独相続の登記
@法定相続人が1人の場合
他に共同相続人がなく法定相続人が1人の場合には、単独相続の申請をします。
A共同相続人が相続放棄をした場合
相続放棄をすると、その者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったとみなされます。
民法第939条
相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
共同相続人が相続放棄をして、相続人が1人になった場合、相続放棄をしなかった者は共同相続人全員名義の共同相続登記をすることなく、直接、単独相続の登記をすることができます。
B遺産分割の場合
遺産分割は、相続開始の時に遡ってその効力を生じますから、遺産分割の結果、共同相続人の1人が遺産全部又は特定の遺産を単独で取得した場合、その者は共同相続の登記をすることなく、直接、単独相続の登記をすることができます。
民法第909条
遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
C相続させる遺言による場合
被相続人の特定の遺産又は遺産全部を相続人の1人に「相続させる」旨の遺言が効力を生じた場合、判例上、この遺言は遺産分割の方法を指定した遺言と解されているので、当該相続人は共同相続の登記をすることなく、直接、単独相続の登記をすることができます。
D相続分のないことの証明書による場合
相続分は民法903条1項の規定によって計算しますが、遺贈又は贈与の価額が相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者である特別受益者は、その相続分を受けることができません。
民法第903条
1.共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、前3条の規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2.遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3.被相続人が前2項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思表示は、遺留分に関する規定に違反しない範囲内で、その効力を有する。
相続人の1人は、他の共同相続人が相続分を受けることができない受遺者又は受贈者である特別受益者として作成した相続分のないことの証明書を添付して、共同相続の登記をすることなく、直接、単独相続の登記を申請することができます。
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