相続財産(搭乗者死亡保険金)
被害者は被上告人A運転の自動車に同乗中被上告人B運転の自動車との衝突事故により死亡しました。
被害者の相続人(上告人)のABに対する自動車損害賠償保障法3条に基づく損害賠償請求訴訟において、Aが保険会社と締結した自家用自動車保険契約は、A運転の自動車を被保険自動車とし、保険契約者Aが被保険自動車の使用等に起因して法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害をてん補するとともに、保険会社が本件搭乗者傷害保険条項に基づき死亡保険金を給付する事を内容とするものであるが、保険契約の細目を定めた保険約款によれば、本件条項は被保険自動車に搭乗中の者を被保険者とし、被保険者が被保険自動車の運行に起因する急激かつ偶然の外来の事故によって傷害を受け、その直接の結果として事故発生の日から180日以内に死亡したときは、保険会社は被保険者の相続人に対して死亡保険金の全額を支払う旨を定め、また、保険会社は、保険金を支払った場合でも、被保険者の相続人が第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得しない旨の定めであること、本件条項は、保険契約者及びその家族、知人等が被保険自動車に搭乗する機会が多いことにかんがみ、搭乗者又はその相続人に定額の保険金を給付することによって、これらの者を保護しようとするものと解するのが相当であり、この条項に基づく死亡保険金は、被保険者が被った損害をてん補する性質を有しないというべきであるとして、損害額から上告人が受領した死亡保険金を控除した金員の支払を命じた原判決を破棄して、ABに対して控除前の金員の支払を命じました。
自動車損害賠償保障法第三条
自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。
搭乗者傷害保険の死亡保険金を死亡被害者の相続人が受領した場合、これを被害者又はその相続人の慰謝料算定に当たり斟酌すべきであるとした事例があります。
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