推定相続人廃除(著しい非行・財産処分)
著しい非行とは、相続的共同関係と目される家族的生活関係を破壊するような非行をいうと解されています。
著しい非行は、被相続人に対してされたものに限ると解する立場と被相続人に対する非行に限ることなく、直接、間接に財産的損害や精神的苦痛を与え、これにより相続的共同体が破壊されるような場合には、他人に対する非行であっても廃除事由になると解する立場があります。
相続人の非行が被相続人によって誘発された場合やその原因につき被相続人にも責められるべき点は斟酌されることになります。
民法第892条
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
財産処分を理由に著しい非行を肯定した次のような事例があります。
@被相続人(夫)の入院中に印鑑、権利証、預金通帳を無断で持ち出し、預金の払戻を受けて着服し、夫婦の共有不動産の夫の持分を自己名義に移転登記した後、姉名義に売買予約を原因とする所有権移転の仮登記をしたこと、また、夫が退院のとき、自宅に案内するように装い、神経科等も診療科目とする病院に入院させようとした場合。
A被相続人の死期が近いことを知って、その遺産を可能な限り単独取得しようと図り、その預貯金を無断で自己又はその妻子名義に変更し、被相続人に対し不当な精神的苦痛を与えた行為は、当該相続人が被相続人と7年間同居し、被相続人入院中は相続人の妻が看病等に当たった扶養的行為を考慮に入れても著しい非行に該当するとした事例があります。
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