相続費用の清算
相続費用を相続財産の中から支弁した場合は、遺産分割のときに支出者が清算報告をして、残余財産を分割の対象とします。
共同相続人のある者が立替支出した場合には、その清算は遺産分割協議のときに行ないます。
この協議の中で、費用の分担に関し合意が成立しなければ、その解決を保留として、正の財産の分割だけを先行して成立させ、後日費用の清算の調停などを申し立てを行ないます。
遺産分割の審判において相続財産に関する費用の清算が得られるかについて、次のような事例があります。
@遺産分割には清算的要素を含まないから、遺産に関する税金、建物の改造・修理費用については、遺産分割と別個に相続人間で清算すべきである。
A相続開始後の公租公課は、遺産分割の際に考慮すべきではなく、別に定めるべきである。
B相続人の一人が相続財産に対する固定資産税や他の相続人の相続税を支払った事実は、遺産分割審判では考慮する必要はない。
C相続人の一部が遺産である不動産に増改築工事を加えた場合の償還請求は、当事者が遺産分割手続内での清算に同意している場合又はその金額が明確で、これを遺産分割手続内で清算するのが正義、衡平にかなう特段の事情のない限り民事訴訟によるべきである。
など、消極ないし制限的に解した事例があります。
これに対して、遺産の固定資産税、地代、電気料、上下水道、火災保険料等相続財産の管理に関する費用は、相続財産から支弁すべきものであるから、分割すべき遺産及びその収益の額を算定するに当たっては、当然これら管理費用を控除すべきであるとして、遺産分割の審判で清算を求めた事例があります。
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