推定相続人廃除(著しい非行・犯罪)
著しい非行とは、相続的共同関係と目される家族的生活関係を破壊するような非行をいうと解されています。
著しい非行は、被相続人に対してされたものに限ると解する立場と被相続人に対する非行に限ることなく、直接、間接に財産的損害や精神的苦痛を与え、これにより相続的共同体が破壊されるような場合には、他人に対する非行であっても廃除事由になると解する立場があります。
相続人の非行が被相続人によって誘発された場合やその原因につき被相続人にも責められるべき点は斟酌されることになります。
民法第892条
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
犯罪を理由に著しい非行を肯定した次のような事例があります。
@詐欺、横領、傷害、窃盗、強姦未遂、恐喝等8回もの有罪判決を受けて、服役を繰り返し、今も強盗罪で服役している場合。
A売春防止法で送検された場合。
B業務上横領、詐欺罪により服役後、再度の横領行為の場合。
犯罪を理由とする申立に対して廃除の原因に該当しないとした次のような事例があります。
@著しい非行とは相続権を剥奪するに相応する程度の重大な非行があったことを要し、家名を著しく汚す非行、犯罪により刑に処せられた事情があっても、この要件を満たさないとき。
A横領により刑事被告人となったことによって被相続人が著しく感情を害したとか、生活上支障を来したことは認められない場合。
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