相続人廃除の意思表示が不明確
遺言によって推定相続人を廃除する場合、その意思表示は明確であることが望ましいといえますが、その旨の明確な意思表示がされていなくても、従来の事情を総合すれば廃除を求めていると判断できるときは、廃除の意思表示があったものとされます。
遺言による推定相続人廃除の意思が認められた次の事例があります。
@「養女****に後を継がす事は出来ないから離縁したい」旨の遺言
A被相続人が生前、夫と激しく対立し、再三暴行傷害を受けて心神とも極度に疲労していた事情等を考慮し「親から貰った金も俸給もボーナスも絞り取ったから1円の金もやれないし、うちの物や退職金などには指1ふれさせへん」との遺言
B「土地建物外すべてを****と****に委任する」の文言を推定相続人廃除の手続をとることを申立人である遺言執行者に委任する趣旨と解した事例
C「私の財産年金の受給権は****には一切受け取らせないようお願いします」との遺言は、相続人廃除の意思表示と解するのが相当であり、相続分0の趣旨と解すべきではないとした事例
推定相続人を廃除する旨の意思表示をしただけで、廃除原因を明示してなくても、遺言執行者は、被相続人が廃除原因としたであろうと推察できる事情を原因として、廃除の請求をすることができます。
推定相続人を廃除する遺言は、遺言者死亡の時に効力を生じます。
遺言が効力を生じた後、遺言執行者は、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に廃除の請求をしなければなりません。
民法第985条
1.遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。
2.遺言に停止条件を付した場合において、その条件が遺言者の死亡後に成就したときは、遺言は、条件が成就した時からその効力を生ずる。
民法第893条
被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
無料法律相談はこちら
Amazonで相続を調べる
|
|