養子縁組の渉外事件




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養子縁組の渉外事件

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養子縁組の渉外事件

@コロンビア

申立人(国籍日本)とその配偶者の嫡出子(国籍コロンビア 20歳)間の養子縁組事件につき、法適用通則法(当時、「法例」以下全て同じ。)30条1項により、養親については日本国民法、養子についてはコロンビア共和国民法をそれぞれ適用した上、コロンビア国法上要求されている裁判所による決定についてはわが国の家庭裁判所による許可審判をもって代えうるとして、養子縁組を許可した事例があります。

法適用通則法第三十条  

1.子は、準正の要件である事実が完成した当時における父若しくは母又は子の本国法により準正が成立するときは、嫡出子の身分を取得する。
2.前項に規定する者が準正の要件である事実の完成前に死亡したときは、その死亡の当時におけるその者の本国法を同項のその者の本国法とみなす。


Aカナダ ブリティッシュ・コロンビア州

申立人夫(国籍カナダ)、申立人妻(国籍日本)がカナダにおいて里親として養育中の子(国籍日本 1歳)の養子縁組許可事件につき、養子となる者の常居所地であるわが国が国際裁判管轄権を有するとした上、申立人夫の準拠法であるカナダ国ブリティッシュ・コロンビア州法が求めている監督官の調査及びその報告書については、日本国の家庭裁判所調査官による調査及び調査報告書をもって代えうるとして、養子縁組を許可した事例があります。

Bアメリカ合衆国

・イリノイ州

日本人夫とアメリカ人妻の連れ子(イリノイ州、11歳)間の養子縁組許可事件において、法適用通則法31条により準拠法となる養親の本国法(日本民法)によれば家庭裁判所の許可を要しないが、同条により準拠法となる養子の本国法(イリノイ州法)が裁判所の決定を要件としてることから、その決定に代わるものとして養子縁組を許可する審判をした事例があります。

法適用通則法第三十一条  

1.養子縁組は、縁組の当時における養親となるべき者の本国法による。この場合において、養子となるべき者の本国法によればその者若しくは第三者の承諾若しくは同意又は公的機関の許可その他の処分があることが養子縁組の成立の要件であるときは、その要件をも備えなければならない。
2.養子とその実方の血族との親族関係の終了及び離縁は、前項前段の規定により適用すべき法による。


・ワシントン州

申立人夫、妻(いずれもアメリカ国籍 ワシントン州)と未成年者(国籍日本)間の養子縁組許可事件において、ワシントン州法によれば、養子と実父母との関係が断絶する事から、わが国における特別養子の要件の充足を審査した上、特別養子の主文(未成年者を申立人らの養子とする)をもって申立を認めた事例があります。



Cフィリピン

・申立人夫(国籍日本)、申立人妻(国籍フィリピン)と事件本人(国籍フィリピン)間の養子縁組許可事件において、法適用通則法31条に従い日本人夫と事件本人との関係について適用される日本法と、フィリピン人妻と事件本人との関係について適用されるフィリピン法とは、養子縁組の形式的要件を異にするが、法適用通則法34条によれば養子縁組をする場所である日本の方式によることができるので、フィリピン人妻と事件本人との関係についても戸籍管掌者への届出によることができ、これによってフィリピン法が要求する夫婦共同縁組の要件を充足すると解した事例があります。

法適用通則法第三十四条  

1.第二十五条から前条までに規定する親族関係についての法律行為の方式は、当該法律行為の成立について適用すべき法による。
2.前項の規定にかかわらず、行為地法に適合する方式は、有効とする。


・申立人夫(国籍日本)とその妻(国籍フィリピン)の連れ子(国籍フィリピン、未成年者)間の養子縁組を許可した事例があります。

・申立人夫(国籍日本)、妻(国籍フィリピン)と妻の非嫡出子(国籍フィリピン、未成年者)間の養子縁組許可事件において、法適用通則法31条によりフィリピン児童少年福祉法典により裁判所の養子決定を要するが、その決定を求めることが困難な特別な事情があるとして例外的にわが国家庭裁判所の養子縁組許可の審判をもってこれらの要件を満たすものと解するのが相当であるとして養子縁組許可審判をした事例があります。

D韓国

申立人夫(国籍日本・韓国人妻がある)と未成年者(国籍韓国 15歳未満)間の養子縁組許可事件において、わが国が国際裁判管轄権を有するとした上で、準拠法である日本法により必要的共同縁組であるとし、養親の本国法の適用については、養父子関係と養母子関係を分離して、それぞれの本国法を各別に適用し、申立人に対し、妻とともに未成年者を養子とすることを許可した事例があります。

E中華民国

申立人(国籍日本)と事件本人(国籍中国(台湾) 成人)間の養子縁組事件につき、中華民国民法によれば、成年者を養子にする場合も法院の認可を必要とするところ、この要件は法適用通則法31条にいう保護要件に該当すると解し、わが国の家庭裁判所の許可の審判をもって代えうるとして、養子縁組許可審判をした事例があります。

F中国

申立人夫(国籍日本)、申立人妻(国籍中国)と2名の未成年者(国籍日本)間の養子縁組許可事件につき、養親は1名の子女のみと縁組することができるとする中国養子縁組法の適用を法適用通則法42条により排除して養子縁組を許可した事例があります。

法適用通則法第四十二条  

外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の秩序又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない。


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