推定相続人廃除(著しい非行・浪費)
著しい非行とは、相続的共同関係と目される家族的生活関係を破壊するような非行をいうと解されています。
著しい非行は、被相続人に対してされたものに限ると解する立場と被相続人に対する非行に限ることなく、直接、間接に財産的損害や精神的苦痛を与え、これにより相続的共同体が破壊されるような場合には、他人に対する非行であっても廃除事由になると解する立場があります。
相続人の非行が被相続人によって誘発された場合やその原因につき被相続人にも責められるべき点は斟酌されることになります。
民法第892条
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
浪費を主な理由として著しい非行を肯定した次のような事例があります。
@浪費、学業放棄、同棲、転職、金員強要等の行為。
A未成年の頃から女性関係が絶えず、結婚後も妻子を顧みず、浪費癖があり、被相続人所有土地を無断売却、賃貸して遊興費にあて、免許もないのに新車2台を買って負債を作り、700万円余りの負債を被相続人に立替払いさせ、現に妻子とともに家出しているなどの所為。
B再三にわたって金銭上の問題を起した子の行為が相続権を剥奪するに足る著しい非行とは認められないとした事例もあります。
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