推定相続人廃除(著しい非行・不貞)
著しい非行とは、相続的共同関係と目される家族的生活関係を破壊するような非行をいうと解されています。
著しい非行は、被相続人に対してされたものに限ると解する立場と被相続人に対する非行に限ることなく、直接、間接に財産的損害や精神的苦痛を与え、これにより相続的共同体が破壊されるような場合には、他人に対する非行であっても廃除事由になると解する立場があります。
相続人の非行が被相続人によって誘発された場合やその原因につき被相続人にも責められるべき点は斟酌されることになります。
民法第892条
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。
不貞行為を理由に著しい非行を肯定した次のような事例があります。
@雇い人と情交関係を継続し、妻子を捨てて顧みない場合。
A夫を裏切り、被相続人や子を捨て、復帰の勧告にも従わず、3ヶ月近く有婦の男性と不貞を継続している場合。
B病気の夫を看護せず、店員と不貞行為をはたらいた挙句に家出して同棲生活を続け、配偶者としての貞操義務、同居・扶助義務に違反している場合。
C妻のもとを去って、長年愛人と生活してきた夫が、別居中、妻に対してある程度の財産的給付をしてきたとしても、精神的には妻を遺棄したものであって、夫の行状は著しい非行に該当する。
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