遺言執行者の任務の判例2




杉並区の行政書士



遺言執行者の任務の判例2

スポンサードリンク
杉並区の行政書士遺言の知識>遺言執行者の任務の判例2

遺言執行者の任務の判例2

危急時遺言で遺言執行者に指定された弁護士の注意義務に反するとして、遺言者甲の相続人乙は、請求原因@として、遺言執行者丙が甲の危急時遺言確認の手続をとらず、同書面は遺言として失効したので、これに基づく4000万円の遺贈を受けられなくなったとして2000万円の損害賠償を丙に請求しました。

裁判所は、本件書面は、危急時遺言の方式を具備しているが、遺言の内容は「**製作所所有の財産を売却処分し、得られた代金の中から乙に4000万円を支払う」というのであり、これは**製作所所有の財産の分割方法を指定したと解するのが相当であり、遺言者と**製作所は法律上別人格であり同社の財産が遺言者の相続財産を構成するものではないから右内容の指定は遺言としてなすことはできないというべきであり、本件書面は、その後手続のいかんにかかわらず、遺言としての効力を有し得ないのであるから、これによって乙が受贈者としての権利を取得することはあり得ず、右取得を期待すべき法律上の利益もないとしてその主張は理由がないとしました。

乙は、請求原因Aとして、丙は遺言者から依頼されて本件書面の作成に関与し、本件書面において遺言執行者に指定されてこれに受諾し、本件書面の保管を承諾しているが、弁護士として、本件書面が遺言書として効力を有しないときは外見上の受遺者である乙に対して速やかにその旨を告げ、乙が本件書面によってその記載内容のとおりの遺贈を受ける権利を有するものと誤信して甲の遺産に対する権利行使の機会を失することがないようにする注意義務を怠ったとして2000万円の損害賠償を請求しました。



これについて、裁判所は、丙には専門家としての注意義務があることを認めましたが、乙にも自己の相続上の権利の確保について落ち度があり、丙の責任を検討するにあたっては、公平の見地からこれを斟酌して乙には損害のうち500万円の賠償を得せしめれば、自己の権利主張の機会を失したことによって被った損害の賠償として十分であるとしました。

特定の不動産を特定の相続人に「相続させる」旨の遺言がある場合には、当該遺産は、被相続人の死亡の時に直ちに当該相続人に承継されるから、遺言執行者には当該不動産につき財産分与を原因とする所有権移転登記手続等請求訴訟の当事者適格はないとした事例はあります。

特定の不動産を相続人甲に「相続させる」旨の遺言により、甲が被相続人の死亡により、当該不動産を取得した場合、遺言執行者には相続登記の申請義務はありません

(遺言執行者の権利義務)
民法第1012条 遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 第644条から第647条まで及び第650条の規定は、遺言執行者について準用する。

(遺言の執行の妨害行為の禁止)
民法第1013条 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。


無料法律相談はこちら


Amazonで相続を調べる
カテゴリ
自筆証書遺言の訂正
自筆証書遺言の加除変更の判例
自筆証書遺言の方式に反する加除変更
自筆証書遺言の加除変更等
成年被後見人の自筆証書遺言
成年被後見人の遺言の立会人
自筆証書遺言の遺贈の対象
自筆証書遺言の財産処分の意思
自筆証書遺言の遺言の抵触
自筆証書遺言の遺言事項
自筆証書遺言の遺言能力
老人性痴呆者の遺言の有効
老人痴呆者の遺言の無効
制限能力者の遺言能力
自筆証書遺言の自書
自書でない自筆証書遺言
他人が補助した自筆証書遺言
自筆証書遺言の日付の自書
自筆証書遺言の日付の不実記載
自筆証書遺言の日付の封筒記載
自筆証書遺言の氏名の自書
自筆証書遺言の押印
自筆証書遺言の押印の場所
押印のない自筆証書遺言
自筆証書遺言の作成
自筆証書遺言の人の特定
自筆証書遺言の相続財産の特定
自筆証書遺言で遺言執行者に一任
自筆証書遺言の「相続させる」旨
相続させる遺言と遺贈遺言
自筆証書遺言の共同遺言の禁止
自筆証書遺言の封筒と封印
公正証書遺言の要件
公正証書遺言の証人の立会い
公正証書遺言作成中の証人の立会い
公正証書遺言の欠格証人の立会い
公正証書遺言の口授
公正証書遺言の口授の判例
公正証書遺言の口授の判例2
公正証書遺言の口授の判例3
公正証書遺言の口授の判例4
公正証書遺言の口授の筆記
公正証書遺言の承認と署名押印
公正証書遺言の署名押印不能
公正証書遺言の押印
公正証書遺言の公証人の付記
公正証書遺言の一般的記載事項
公正証書遺言の作成手続
公正証書遺言の効力
公正証書遺言と国家賠償
秘密証書遺言の要件
秘密証書遺言の署名と押印と封印
秘密証書遺言の公証人への申述
秘密証書遺言の封紙の日付と申述記載
秘密証書遺言の自筆証書遺言への転換
秘密証書遺言の封紙
死亡危急者遺言の要件
死亡危急者遺言の死亡の危急
死亡危急者遺言の証人3人以上
死亡危急者遺言の口授
死亡危急者遺言の口授の判例
死亡危急者遺言の口授の判例2
死亡危急者遺言の口授の判例3
死亡危急者遺言の筆記、読み聞かせ、閲覧
死亡危急者遺言の承認、署名押印
死亡危急者遺言の作成手続
死亡危急者遺言の確認
死亡危急者遺言の失効
死亡危急者遺言の確認審判
死亡危急者遺言の確認審判手続
死亡危急者遺言の確認と却下
船舶遭難者遺言の要件
船舶遭難者遺言の口頭遺言
船舶遭難者遺言の確認
伝染病隔離者遺言の要件
船舶隔絶地遺言の要件
在外日本人の遺言
遺言の撤回
遺言の法定撤回
抵触する遺言による撤回
抵触する生前行為による遺言撤回
遺言書の破棄による撤回
遺贈目的物の破棄による遺言撤回
遺言の撤回の効力
遺言の撤回の撤回
遺言の撤回の取消し
遺言の検認申立
遺言の検認手続
検認を経ない遺言執行
遺言書の隠匿
遺言書の隠匿の判例
遺言書の隠匿の判例2
遺言執行者
遺言執行者の執行妨害
遺言執行者のある場合とは
遺言執行者の第三者への抹消登記請求
遺言執行者と遺産分割協議
遺言執行者の同意を得た相続人の処分
遺言執行の判例
遺言執行の判例2
遺言執行者の適格
遺言執行者の任務
遺言執行者の任務の判例
遺言執行者の任務の判例2
遺言執行者指定の効果
遺言執行者指定の委託する遺言
遺言執行者指定の方式
免責事項
当サイトの情報を利用してトラブル等が発生しましても、管理人は一切責任を負うものではありませんのでよろしくお願いいたします。
Copyright (C)杉並区の行政書士All Rights Reserved