死亡危急者遺言の証人3人以上
死亡危急者遺言の証人の数を他の特別方式の遺言の場合より多くしたのは、口頭遺言の弊害を防ぎ、遺言者の真意をより一層確保しやすくするためと、難船危急時遺言におけるほど緊迫した事情にないため証人を探すことが可能ですから、証人の数を3人以上としても、遺言の機会を不当に奪うことにならないという考慮によるものです。
証人の欠格事由については、普通方式の遺言の場合と同じです。
(普通の方式による遺言の規定の準用)
民法第982条 第968条第2項及び第973条から第975条までの規定は、第976条から前条までの規定による遺言について準用する。
(証人及び立会人の欠格事由)
民法第974条 次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。
1.未成年者
2.推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族
3.公証人の配偶者、4親等内の親族、書記及び使用人
証人は、筆記の正確なことを承認して署名押印しなければなりませんから、署名押印のできない者は証人となることはできません。
死亡危急時の遺言につき、適格証人が3人以上立ち会って方式を遵守してされたものである以上、右証人のほかに欠格者が証人として同時に立会い遺言者に署名押印しても右遺言の方式遵守に影響を及ぼさないとした事例があります。
証人は、全員がそろって終始継続して立ち会っていなければなりません。
証人が中座して1人しか立ち会っていない場合に筆記がなされたときは、方式違背として無効となります。
法定の適格者である証人が3人以上立ち会っていれば、ほかに欠格者の証人が立ち会っていても、遺言は有効です。
3人の適格者のほかに、推定相続人や受遺者といった遺言に直接利害関係のある証人欠格者が立ち会って、口述を筆記したり、読み聞かせたりして、その遺言全般にわたって主導的な働きをしたような場合は、この欠格者によって遺言者や他の証人が牽制される危険性が大きいから、その遺言を無効とする説があります。
遺言内容に実質的影響を与えるような立場にある者は証人欠格者になるとして受遺者の姉が立ち会った遺言を無効とした審判例があります。
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