自筆証書遺言の押印
自筆証書遺言の押印は、氏名の自書と同じ趣旨で、遺言者の同一性と遺言者の意思を確認するために要求されています。
押印は、遺言者が遺言を作成する意思であったことを担保する機能をもつとされています。
押す印にも制限がありません。
印鑑証明のある実印や認印、拇印、指印でも足りるとされています。
被相続人甲は昭和57年**月**日に遺言をしたが昭和58年**月**日に**市所在の乙事務所において右遺言を取消す旨の本件遺言をし、本件遺言は甲が自らその全文及び日付を記載した上署名し、その署名の下の部分に指印をしたものである場合、この押印としては、遺言者が印章に代えて拇印その他の指頭に墨、又は朱肉等をつけて押捺することをもって足りるとしています。
この場合、指印が遺言者本人の押捺にかかるものであることは、必ずしも遺言者本人の指印の印影であることが確認されている指印影との対照によって立証されることを要するわけではなく、証人の証言等によって立証される場合のほか、遺言書の体裁、その作成、保管の情況等諸般の事情から確認される場合でも差し支えないと解されています。
本件遺言書は遺言者が被告の面前で全文を自書し、指印をして作成されたとの被告本人の供述等はその信憑性を肯定できるとして遺言無効確認請求を棄却した事例があります。
また、花印は印と同視することの問題がないわけではありませんが、遺言者の同一性を確認する上では、認印などよりも個性的ですから印と同視して有効と解されています。
印は、原則として遺言者が押さなければなりません。
(自筆証書遺言)
民法第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。
病気で手が震える遺言者が他人に手を支えてもらって押した場合はもとより、遺言者の依頼により他人が遺言者の面前で押した場合でも有効とされています。
入院中の遺言者の指示で、遺言者から実印を預かった娘がその印を自宅に持ち帰り、自宅で押印した場合も有効とされています。
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