遺言執行の判例
遺産分割の方法を指定した「相続させる」旨の遺言で指定された遺言執行者は、その遺言に反する共同相続人がした法定相続分による相続登記を右遺言の執行を妨げる行為としてその抹消登記手続を請求することができます。
相続登記をしたことによって抹消登記手続を請求せざるをえなくなり、そのために相続財産が支出した訴状貼用印紙代、弁護士報酬等の損害の賠償請求権は相続人に直接帰属するから、その損害賠償請求権の行使も相続人においてすべきであり、損害賠償請求の訴えについては遺言執行者は当事者適格を有しないとして却下されます。
被相続人は遺言書を遺して死亡し、その遺言には遺言執行者甲が指定され、就職しているが、相続人間で本件土地の遺産性につき争いがある場合、相続人乙は他の相続人丙に対して本件土地が相続財産に属しないことの確認訴訟を提起することは認められません。
この場合、丙がこの訴訟で敗訴すると遺言執行者に移された処分権限に抵触しこれを侵すことになるから、乙は遺言執行者甲を被告としてその所有権の存否を確定し、その判決の効力を相続人に及ぼさしめることによって紛争を解決すべきであるとされます。
遺言の執行について遺言執行者が指定され又は選任された場合においては、遺言執行者が相続財産の、又は遺言が特定財産に関するときはその特定財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有し、相続人は相続財産ないしは右特定財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることはできないこととなるのであるから本訴のように、特定不動産の遺贈を受けた者がその遺言の執行として目的不動産の所有権移転登記を求める訴えにおいて、被告としての適格を有する者は遺言執行者に限られるのであって、相続人はその適格を有しないとされます。
(遺言執行者の権利義務)
民法第1012条 遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 第644条から第647条まで及び第650条の規定は、遺言執行者について準用する。
(遺言の執行の妨害行為の禁止)
民法第1013条 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
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