公正証書遺言の押印
遺言者と証人は署名の後に、印を押さなければなりませんが、印は署名と異なり、自ら押さなくても他人に命じて、その面前で押させてもよいとされています。
公証人役場の書記が遺言者の印鑑を預かって、その場で押印した事例があります。
署名ができないために署名を免除された遺言者の押印につき、押印を要すると見解と、要しない見解とがあります。
証人の署名押印は同一人物によるものであることを理由とする公正証書遺言無効の主張が排斥された事例があります。
公正証書方式の遺言書に押捺してある証人の印鑑が実印でないことを理由とする遺言無効の主張につき、公正証書遺言の証人となるべき者が押捺する印鑑については、特に実印に限り、かつ、印鑑証明書を添付すべきことを規定した法令は存在せず、右承認については公証人法28条2項の規定は適用されないとの実務の取り扱いが定着しており、民法969条の趣旨に照らし、右実務の取り扱いを違法不当とすべき理由は見当たらないとして、遺言無効の主張を排斥した事例があります。
公証人法第28条 公証人証書ヲ作成スルニハ嘱託人ノ氏名ヲ知リ且之ト面識アルコトヲ要ス
2 公証人嘱託人ノ氏名ヲ知ラス又ハ之ト面識ナキトキハ官公署ノ作成シタル印鑑証明書ノ提出其ノ他之ニ準スヘキ確実ナル方法ニ依リ其ノ人違ナキコトヲ証明セシムルコトヲ要ス
3 急迫ナル場合ニ於テ公証人証書ヲ作成スルトキハ前項ノ手続ハ証書ヲ作成シタル後3日内ニ証書ノ作成ニ関スル規定ニ依リ之ヲ為スコトヲ得
4 前項ノ手続ヲ為シタルトキハ証書ハ急迫ナル場合ニ非サルカ為其ノ効力ヲ妨ケラルルコトナシ
(公正証書遺言)
民法第969条 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
1.証人2人以上の立会いがあること。
2.遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
3.公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
4.遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を附記して、署名に代えることができる。
5.公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を附記して、これに署名し、印をおすこと。
無料法律相談はこちら
Amazonで相続を調べる
|
|