自筆証書遺言の人の特定




杉並区の行政書士



自筆証書遺言の人の特定

スポンサードリンク
杉並区の行政書士遺言の知識>自筆証書遺言の人の特定

自筆証書遺言の人の特定

遺言の内容が、甲に対し、「末尾不動産小生死後直ちに移転登記をなすか、又4人の小児の内財産的維持能力あるものを養子として入籍せられ度」なる場合、その趣旨を、甲に対する不動産の遺贈と甲の4人の子の内1人を養子として入籍するかを甲に一任したものと解し、遺言は特定してされるべきであり、甲の選択に一任することは遺言の代理を是認すると同一に帰するから、本件遺言は無効であるとしました。

遺言養子の制度は廃止されているので、「養子として入籍」の部分は無効であり、甲に対する遺贈のみが有効となる観があるが、遺言者の意思に副うように解した場合、「養子として入籍」の部分を自分の財産を相続させる意思と考え、遺贈と取り扱った上、受遺者の範囲を甲及びその子4人としてその選択を甲に一任したと解するのが相当であり、遺言上、選択の具体的基準が定められているときは有効と解する余地もあるが、本件遺言においては財産的維持の能力ある者との標準は具体性を欠き、しかも甲自らとその子4人の内財産的維持の能力ある者とのいずれにするやは依然として甲自体にその選択を一任されている形となるから、結局、本件遺言は受遺者の特定を欠き無効といわざるを得ないとしました。



遺言は法律の認めた一定の事項に限りすることのできる行為であり、遺言によってなし得る財産処分としては遺贈、寄付行為及び信託の設定が認められているところ、本件遺言は特定の財産を除くその余りの全遺産の処分を第三者に委ねることを内容とするものであり、右の遺言によってなしうる財産処分のいずれにも該当しないとした事例があります。

そして、原告主張のように、本件遺言は他の遺言により特定遺贈の対象とされた財産を除くその余りの全財産の遺贈の方法、受遺者の選定及びこれが複数のときはその遺贈額の決定を第三者乙に委託したものと解し得るとしても、現行法上遺贈の内容の決定を第三者に委託する旨の遺言を認める規定はなく、受遺者のごとき遺贈の内容の本質的な部分についてその決定を第三者に一任するような内容の遺言は代理を禁止する民法の趣旨に反するものであり、許されないとして、代理権限を証する書面として本件遺言書を添付した遺贈を登記原因とする所有権移転登記申請を却下した決定に違法はないとしました。

また、原告は、本件遺言は有効と解されている受遺者が遺贈の目的物を受遺者の選定する他人に分与すべき負担を負わせる負担付遺贈を同趣旨に帰するから有効と解すべきであると主張しましたが、これには負担付遺贈の内容は遺言者自身によって決定されるものであり、これとは遺贈の内容の決定を第三者に委託する旨の遺言と同一に論ずることはできないとしています。

無料法律相談はこちら


Amazonで相続を調べる
カテゴリ
自筆証書遺言の訂正
自筆証書遺言の加除変更の判例
自筆証書遺言の方式に反する加除変更
自筆証書遺言の加除変更等
成年被後見人の自筆証書遺言
成年被後見人の遺言の立会人
自筆証書遺言の遺贈の対象
自筆証書遺言の財産処分の意思
自筆証書遺言の遺言の抵触
自筆証書遺言の遺言事項
自筆証書遺言の遺言能力
老人性痴呆者の遺言の有効
老人痴呆者の遺言の無効
制限能力者の遺言能力
自筆証書遺言の自書
自書でない自筆証書遺言
他人が補助した自筆証書遺言
自筆証書遺言の日付の自書
自筆証書遺言の日付の不実記載
自筆証書遺言の日付の封筒記載
自筆証書遺言の氏名の自書
自筆証書遺言の押印
自筆証書遺言の押印の場所
押印のない自筆証書遺言
自筆証書遺言の作成
自筆証書遺言の人の特定
自筆証書遺言の相続財産の特定
自筆証書遺言で遺言執行者に一任
自筆証書遺言の「相続させる」旨
相続させる遺言と遺贈遺言
自筆証書遺言の共同遺言の禁止
自筆証書遺言の封筒と封印
公正証書遺言の要件
公正証書遺言の証人の立会い
公正証書遺言作成中の証人の立会い
公正証書遺言の欠格証人の立会い
公正証書遺言の口授
公正証書遺言の口授の判例
公正証書遺言の口授の判例2
公正証書遺言の口授の判例3
公正証書遺言の口授の判例4
公正証書遺言の口授の筆記
公正証書遺言の承認と署名押印
公正証書遺言の署名押印不能
公正証書遺言の押印
公正証書遺言の公証人の付記
公正証書遺言の一般的記載事項
公正証書遺言の作成手続
公正証書遺言の効力
公正証書遺言と国家賠償
秘密証書遺言の要件
秘密証書遺言の署名と押印と封印
秘密証書遺言の公証人への申述
秘密証書遺言の封紙の日付と申述記載
秘密証書遺言の自筆証書遺言への転換
秘密証書遺言の封紙
死亡危急者遺言の要件
死亡危急者遺言の死亡の危急
死亡危急者遺言の証人3人以上
死亡危急者遺言の口授
死亡危急者遺言の口授の判例
死亡危急者遺言の口授の判例2
死亡危急者遺言の口授の判例3
死亡危急者遺言の筆記、読み聞かせ、閲覧
死亡危急者遺言の承認、署名押印
死亡危急者遺言の作成手続
死亡危急者遺言の確認
死亡危急者遺言の失効
死亡危急者遺言の確認審判
死亡危急者遺言の確認審判手続
死亡危急者遺言の確認と却下
船舶遭難者遺言の要件
船舶遭難者遺言の口頭遺言
船舶遭難者遺言の確認
伝染病隔離者遺言の要件
船舶隔絶地遺言の要件
在外日本人の遺言
遺言の撤回
遺言の法定撤回
抵触する遺言による撤回
抵触する生前行為による遺言撤回
遺言書の破棄による撤回
遺贈目的物の破棄による遺言撤回
遺言の撤回の効力
遺言の撤回の撤回
遺言の撤回の取消し
遺言の検認申立
遺言の検認手続
検認を経ない遺言執行
遺言書の隠匿
遺言書の隠匿の判例
遺言書の隠匿の判例2
遺言執行者
遺言執行者の執行妨害
遺言執行者のある場合とは
遺言執行者の第三者への抹消登記請求
遺言執行者と遺産分割協議
遺言執行者の同意を得た相続人の処分
遺言執行の判例
遺言執行の判例2
遺言執行者の適格
遺言執行者の任務
遺言執行者の任務の判例
遺言執行者の任務の判例2
遺言執行者指定の効果
遺言執行者指定の委託する遺言
遺言執行者指定の方式
免責事項
当サイトの情報を利用してトラブル等が発生しましても、管理人は一切責任を負うものではありませんのでよろしくお願いいたします。
Copyright (C)杉並区の行政書士All Rights Reserved