自筆証書遺言の日付の不実記載
日付は、全文を自書した日を記載するのが原則です。
判例は、全文を自書した日の翌日に、前日の日付を記載しても有効としています。
これは、全文と日付の自書が一連の遺言行為と認められる場合には、多少のずれは許されるとする見解です。
しかし、全文を自書した日と実際に日付を記載した日とがかけ離れている場合には、原則に戻って実際に日付を記載した日を遺言の日付としなければなりません。
判例も、全文を自書した日から8日後に当日の日付を記載した場合は、実際に日付を記載した日を遺言の日付としています。
故意による不実記載の場合、例えば、遺言作成の日より遡らせ記載したようなときは、日付の記載を欠くものとして遺言は無効と解されています。
遺言書が実際に作成された日及び実際の作成日と異なる日が記載され、2年近くも遡った日を記載しているときは、単なる誤記というべきではなく、このような遺言書は不実の日付の記載のある作成日の記載がない遺言書と同視すべきであり、自筆証書遺言の方式を欠くものとして無効と解すべきであるとされます。
錯誤によって遺言者が日付を記載した場合は、それが誤記であること及び真実の作成の日が証書の記載その他から容易に判明できれば、日付の誤りをもって遺言を無効とすべきではなく、「昭和五拾四拾年」は昭和五拾四年の誤記であり、特定日の記載として有効と認められています。
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