船舶遭難者遺言の要件
船舶が遭難した場合において、その船舶中にあって死亡の危急に迫った者は、証人2人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができます。
口がきけない者が、この方式の遺言をする場合には、遺言者は、通訳人の通訳により、これをしなければなりません。
「口がきけない者」の中には、言語機能障害のため発語不能である場合だけでなく、聴覚障害や老齢のために発語が不明瞭で、発語の相手方にとって聴取が困難な場合も含まれるとされています。
「通訳人の通訳」には、手話通訳以外に、読話、触読、指点字等の方法による通訳も含まれます。
この方式による遺言は、証人がその趣旨を筆記して、これに署名して、印を押し、かつ、証人の1人又は利害関係人から遅滞なく家庭裁判所に請求してその確認を得なければその効力を生じません。
家庭裁判所は、遺言が真意に出たものであるとの心証を得なければ、これを確認することができません。
船舶遭難者遺言は、船舶が遭難した場合に、その船舶中に在って死亡の危急が迫った者について認められる方式です。
この方式による遺言は船舶の遭難の場合だけでなく、航空機遭難の場合にも類推適用できるとされています。
(船舶遭難者の遺言)
民法第979条 船舶が遭難した場合において、当該船舶中に在って死亡の危急に迫った者は、証人2人以上の立会いをもって口頭で遺言をすることができる。
2 口がきけない者が前項の規定により遺言をする場合には、遺言者は、通訳人の通訳によりこれをしなければならない。
3 前2項の規定に従ってした遺言は、証人が、その趣旨を筆記して、これに署名し、印を押し、かつ、証人の1人又は利害関係人から遅滞なく家庭裁判所に請求してその確認を得なければ、その効力を生じない。
4 第976条第5項の規定は、前項の場合について準用する。
船舶遭難者遺言の作成要件は、次の4つです。
@船舶遭難の場合で、船舶中に在る者が死亡の危急に迫っていること。
A証人2人以上の立会いがあること。
B遺言者が口頭で遺言をすること。
C証人が遺言の趣旨を筆記して署名押印すること。
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