公正証書遺言の口授の判例3
遺言者の遺言公正証書作成当日の病状は、全身衰弱して、午前11時頃言語不明瞭で聞取れず、午後1時頃昏迷状態で呼びかけにも返事をしなくなり、午後2時45分酸素テント使用開始、翌日午前6時20分死亡という経過からみて、担当医師は、当日の正午から午後1時の時間帯に遺言者が他人と会話を交わすことはかなり確実に不可能であったと考えていることが認められるとして公正証書作成時に遺言者が遺言の趣旨を口授できたとは認め難いとした事例があります。
遺言者は上体を起すこともできたし、意識もあったが、言葉の音量はかすかであり、その口元に耳を近づけなければ聞き取れない程度であったこと、公証人に対する遺言内容の伝達は推定相続人でかつ受遺者であるAが誰にどれだけということを言って、これでよいかと遺言者に問いかけ、遺言者がうなずいたのに基づいて公証人又はその事務員が録取するという形でされたこと、最後に公証人が全部の内容を読み聞かせ、これに対して遺言者がうなずいたという認定事実からすると遺言者が口授したことにならないとした事例があります。
遺言の全趣旨を一語一句もれなく口述しなくとも、一部を覚書にし、それを口授の補助とすることができます。
判例も、遺贈物件を特定できる程度に遺言の趣旨を口授し、その物件の詳細は覚書を公証人に交付して委嘱した場合でも、口授があったものと解しています。
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