共有物の分割
各共有者は、いつでも、共有物の分割を請求することができます。
分割の協議が調わないとき、共有者は、共有物の分割を裁判所に請求することができます。
(共有物の分割請求)
民法第256条 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、5年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。
2 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から5年を超えることができない。
(裁判による共有物の分割)
民法第258条 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
協議が調わないときとは、共有者の一部に共有物の分割の協議に応ずる意思がないため共有者全員において協議をすることができない場合を含みますから、現実に協議をしたうえで不調に終わった場合に限られるものではありません。
共有物の分割は、共有者相互間において、共有物の各部分につき、その有する持分の交換又は売買が行なわれることであって、各共有者がその取得部分について単独所有権を原始的に取得するものではありません。
共有物分割請求権は共有の本質的属性として、持分権の処分の自由とともに、十分尊重に値する財産上の権利とされていますが、分割請求を受けている被告母は、慢性肝炎ににり患し、60歳を超え就業不能で、本件マンションを唯一の生活の本拠としていること、共有物分割のため競売に付されると、持分権者である被告母は、買受人に対抗し得る占有権原を有しないので引き渡し命令の対象とされ、退去を余儀なくされること、公庫ローン弁済の連帯債務者である原告子の意思に基づく競売開始により、被告母が残債務の一時の支払を余儀なくされること、競売開始により被告母が売得金のみでは、代替住居の確保は困難であり、原告子の経済的援助の見込みも薄いこと、他方、分割請求をしている原告子は、開業医として十分な経済力を有し、現に高賃料のマンションに居住していること、競売手続を利用して、本件マンションの被告母の持分を比較的安価で取得する道も残されていること、などの諸事情を総合勘案すると、原告子の分割の自由を貫徹させることは、著しく不合理であり、原告子の共有物分割請求権の行使は権利の濫用に当たるとして、請求を棄却した事例があります。
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