遺産の換価分割
遺産の換価分割とは、遺産を競売して、その売却代金を分割する方法です。
換価分割は共同相続した遺産を直接遺産分割の対象とせず、まず、これを未分割の状態で換価し、その対価として得られる金銭を共同相続人で分割する方法です。
調停で換価分割を合意する場合はこの例が多く、現物分割すれば著しくその価額が減少する場合や共同相続人がいずれも債務負担の能力を欠いている場合などになされます。
協議分割の場合、競売の方法による換価分割は認められません。
調停分割の場合、共有物分割においては訴訟上の和解による換価分割の合意は問題の余地はあるのですが、遺産分割においては換価分割を命ずる審判は競売申立に当たって提出する民事執行法195条によって準用される同法181条1項1号の書面に該当するので、競売申立をすることができ、換価分割を合意した調停も同様と解されます。
(留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売)
民事執行法第195条 留置権による競売及び民法、商法その他の法律の規定による換価のための競売については、担保権の実行としての競売の例による。
(不動産担保権の実行の開始)
民事執行法第181条 不動産担保権の実行は、次に掲げる文書が提出されたときに限り、開始する。
1.担保権の存在を証する確定判決若しくは家事審判法(昭和22年法律第152号)第15条の審判又はこれらと同一の効力を有するものの謄本
2.担保権の存在を証する公証人が作成した公正証書の謄本
3.担保権の登記(仮登記を除く。)に関する登記事項証明書
4.一般の先取特権にあつては、その存在を証する文書
2 抵当証券の所持人が不動産担保権の実行の申立てをするには、抵当証券を提出しなければならない。
3 担保権について承継があつた後不動産担保権の実行の申立てをする場合には、相続その他の一般承継にあつてはその承継を証する文書を、その他の承継にあつてはその承継を証する裁判の謄本その他の公文書を提出しなければならない。
4 不動産担保権の実行の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、開始決定の送達に際し、不動産担保権の実行の申立てにおいて提出された前3項に規定する文書の目録及び第1項第4号に掲げる文書の写しを相手方に送付しなければならない。
換価分割の場合、遺産を処分するのは形式上は共同相続人中に特定の者が代表してその名で行なうこともありますが、実質的には共同相続人全員であり、したがって当該譲渡所得は全員に帰属し、これに対する所得税は、全員が負担すべきことになります。
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