第三者の遺産の処分
遺産を、相続人以外の第三者が処分した場合、相続人はその者に対して、遺産が現存すれば返還を請求し、現存しないときは損害賠償を請求します。
被相続人甲は、母乙、姉丙、妹丁にたいし、平成**年**月**日に甲名義の預金を管理し、これを甲及び乙の生活費や医療費、**家の家屋の維持のために使用すること、また、その事務は甲の死後も引き続いて乙、丙、丁において処理することを委任したと認定して、甲名義の預金は、甲、乙、丙、丁らの共同所有財産であるなど丙、丁の主張は排斥しましたが、甲が乙、丙、丁らに対し、死後の事務処理を含めてこれを委任するものとして預金の管理をまかせたとの主張を認めて、丙、丁らが甲名義の預金を払い戻しても不法行為を構成しないし、乙の指示で費消されたものについて丙、丁らに不法行為責任を問えないし、丙、丁が費消した金員は、乙の生活費、医療費又は**家の家屋・祭祀の維持のために使われたものと認められ、不法行為の事実は認められないとして、甲の相続人Aの損害賠償請求を棄却した事例があります。
(不法行為による損害賠償)
民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(財産以外の損害の賠償)
民法第710条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
被相続人の委託により財産を管理する受託者が管理上の不正行為により、委託者に損害を与えたときは、賠償損害金が遺産となり、受託者の使用者の使用者責任が問題になることがあります。
銀行の従業員が長年にわたり、高齢者の預金通帳、印鑑を預かり、預入、払戻などの事務を代行し、高額の使途不明金を発生させた場合、このような事務処理を看過し、黙認した銀行に対して損害賠償を命じた事例があります。
(事務管理)
民法第697条 義務なく他人のために事務の管理を始めた者(以下この章において「管理者」という。)は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適合する方法によって、その事務の管理(以下「事務管理」という。)をしなければならない。
2 管理者は、本人の意思を知っているとき、又はこれを推知することができるときは、その意思に従って事務管理をしなければならない。
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