遺産分割を禁止する遺言
被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産分割を禁止することができます。
(遺産の分割の方法の指定及び遺産の分割の禁止)
民法第908条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
被相続人が遺産の分割を禁ずる場合、格別の事由の存することを要しません。
家庭裁判所が遺産分割を禁ずる場合には特別の事由のあることを要しますが、その具体的事情としては、相続人又は遺産の状態が即時の分割に適しない場合、相続人又は遺産の範囲が未確定な場合などがこれに当たるをとされています。
(遺産の分割の協議又は審判等)
民法第907条 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。
3 前項の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。
被相続人甲は債務者乙に対する貸金請求の訴訟中、全財産をABCDに包括遺贈し、遺産分割を4年間禁止する遺言を残して死亡しました。
禁止期間中に包括受遺者Aは遺産取得分について訴えを取り下げ、その後期間は経過している前記訴訟につき、裁判所は、遺産分割禁止の制限はなくなったから、甲の有した本件金銭債権は包括受遺者ABCDの4名に4分の1ずつ分属するにいたったとものというべきであり、Aは同人の取得に帰した分の訴えを取り下げ、被告はこれに同意したことは裁判所に顕著であるとして、被告は原告BCDに対して債権額の各4分の1ずつ支払うべきことを命じた事例があります。
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