代納した相続税の清算
共同相続人が他の相続分の相続税を申告、納税することがあります。
この場合、通常は、後日行われる遺産分割の時に清算しますが、申告が他の相続人に無断でされたとき、紛争を生ずることがあります。
甲が共同相続人乙名義で乙分の相続税を納付した後、乙に対して同額を不当利得として返還請求したところ、乙は、甲が乙名義で相続税を納付したとしても、それは甲が乙に全く無断で乙の名義を冒用し、三文判を押捺してした無効の申告に基づいて勝手に納付したものであり、事後的にも右申告納付を乙が承認したことはなく、甲は乙の納付すべき相続税を乙に代わって納付したものではなく、乙には何の利得もないと主張しました。
裁判所は、乙の申告としては適法有効でないことを認定したうえ、乙は相続税のことは知っていたと考えられるのに、相続税法に従い自らその相続税の申告、納付をすべき義務を履行せず、義務を尽くさなかったために税務署長が決定することもできず、乙が課税を免れ、甲も還付請求をすることができなくなった場合、甲が乙名義でした申告が適法有効であるかどうかにかかわりなく、乙は甲の損失により法律上の原因なく同額の利益を得たものとするのが相当であるとして、乙に対して不当利得の返還を命じました。
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