不在者の財産管理
不在者とは、従来の住所又は居所を去って容易に帰来する見込みのない者をいいます。
不在者が残した財産を管理してその毀損・散逸を防止することは不在者の利益となるばかりでなく、その親族その他の利害関係人の私益を保護し、社会の公益につながります。
民法の不在者の財産管理に関する規定を大別すると、次のようになります。
@不在者本人が自ら管理人をおいた場合には、不在者と管理人とは委任契約における委任者と受任者の関係であり、管理人は不在者の任意代理人として不在者が定めた範囲で権限を行使します。
これを委任管理人といいます。
A不在者が管理人を置かなかったので家庭裁判所が管理人を選任する場合です。
これを選任管理人といいます。
委任管理人の財産管理に家庭裁判所が介入するのは、不在者の監督が管理人に及ばなくなった場合に限られています。
不在者の財産管理手続は、不在者が残した財産を自ら管理できないときに開始されますが、必ずしも不在者が所在不明又は生死不明の状態にあることを要しません。
不在者に、未成年後見人があるときは未成年後見人が、成年後見人があるときは成年後見人が、不在者の法定代理人としてその財産を管理するので、不在者の財産管理人選任を求める必要はありません。
もし、未成年後見が開始しているのに未成年後見人がないときは、その選任を家庭裁判所に請求します。
また、本人が精神障害のために、自ら財産を管理することができないときは、その程度にもよりますが、後見開始の審判があったときに同時に選任される成年後見人が本人の財産を管理することになります。
従来の住所又は居所を去った者がその財産の管理人を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によってその財産の管理に関し必要な処分を命ずることができます。
(不在者の財産の管理)
民法第25条 従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。
2 前項の規定による命令後、本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、その命令を取り消さなければならない。
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