後見開始審判前の行為




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後見開始審判前の行為

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後見開始審判前の行為

後見開始審判前の被後見人の行為について明文の規定はありませんが、意思無能力者の行為は無効と解されています

後見開始前に本人がした行為の効力を争う場合、本人側が意思能力を立証しなければなりません

老人性痴呆の高齢者が金融機関と根抵当権設定契約後、間もなく死亡したが、認定事実に照らして意思能力がなかったとはいえないとして、この契約を有効と認めた事例があります。

一人暮らしの老人がした自宅の土地建物を担保にした根抵当権設定契約を詐欺によるものとして取り消しを認めて、根抵当権設定登記の抹消を命じた事例があります。

未成年者の事実上の後見人としてその財産管理に当たっていた者が無権代理行為後に後見人に就職した場合、後見人は信義則上自己がした無権代理行為の追認を拒絶することは許されないとした事例があります。



私法上の法律関係は、権利義務の主体が、その意思に基づいてのみ発生・変更させるという原則(私的自治の原則)を基本として構成されます。

したがって、法律関係が有効に成立するには、法律行為をなすときに、各人が権利義務の主体となるに足る意思を持ちうること、すなわち意思能力が必要とされます。

もしも法律行為のときに、この意思能力を欠いていた場合には、その法律行為は無効となります。

そして、法律行為のときに意思能力を欠いていたことを理由として法律行為の無効を主張するには、その法律行為がなされた時点において、自らに意思能力が無かったことを証明しなければなりません。

しかし、これは容易ではないため、意思能力という実質的な基準だけでは、判断能力が不十分な社会的弱者の保護を図ることができないおそれがあります。

また、意思能力がなかったことが証明された場合には、当該法律行為は無効となるので、相手方に不測の損害を与えるおそれもあります。

そこで民法は、意思能力の有無が法律行為ごとに個別的に判断されることから生じる不都合を回避し、判断能力が不十分と考えられる者を保護するため、あらかじめ年齢や審判の有無という形式的基準により行為能力の有無を定めました。

この行為能力が制限された者を制限行為能力者といい、個別の事情により未成年者、成年被後見人、被保佐人、同意権付与の審判を受けた被補助人に類型化されています。

各類型の制限行為能力者は、それぞれ一定の法律行為につき、単に制限行為能力者であることを理由として、法律行為を取り消すことができるものとしました。
これにより、判断能力の不十分な者を意思能力の証明の問題から解放して保護を図り、併せて、制限行為能力者の取引の相手方に注意を促して、不測の損害を被ることのないようにしました。


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