現金の引渡請求
相続人は、遺産の分割までの間は、相続開始時に存した金銭を相続財産として保管している他の相続人に対して、自己の相続分相当の金銭の支払を請求することはできないとされています。
この判決は、被控訴人らの主張によれば、同人らが本訴において返還を求める保管金なるものは、被相続人甲がその死亡時に所有していた現金であるところ、現金は被相続人の死亡により他の動産、不動産とともに相続人らの共有財産となり、相続人らは被相続人の総財産の上に法定相続分に応じた持分権を取得するだけであって、債権のように相続人の相続分に応じて分割された額を当然に承継するものではないから、被控訴人らが自ら認めるとおり相続人らの間でいまだ遺産分割の協議が成立していない以上、被控訴人らは、本件現金に関し、法定相続分に応じた金銭の引渡を求めることはできないという原審の判断を正当としました。
(分割債権及び分割債務)
民法第427条 数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
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