遺贈財産の分割
土地賃借権が甲から乙、乙から丙に順次遺贈された後、関係相続人らの遺産分割協議により右賃借権を丙から甲の他の相続人が取得することは、いったん遺贈された財産や遺留分減殺請求によって取り戻された財産であっても、当事者全員がこれらの財産を遺産分割の対象とすることを合意することは相続の事後処理として可能であり、しかも、本件土地の利用状況は右譲渡の前後を通じ変わっていないこと、賃料の滞納などもないので、地主に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるとして、地主の建物収去土地明渡請求を棄却した事例があります。
借地権は建物所有を目的とする地上権と、賃借権の2つがありますが、わが国の借地権のほとんどが賃借権となっています。
この賃借権に基づく借地権は自由に譲渡することができず、譲渡するには地主の承諾が必要です。
地主としては、「この人だから土地を貸している」という借地権者(借地権を有する者)への信頼があるわけです。
地主の知らない間に借地権が譲渡され、借主がどんどん変わっていったら困ります。
信頼関係のない知らない人が借主になると、地代を支払わなかったり、建物を無断で増改築したりと、地主に不利益になるような事態が発生し、紛争が生じる危険があります。
借地権の譲渡をする場合には地主の承諾が必要なのです。
もし地主の承諾を得ないで無断で譲渡した場合には、契約違反ということになって土地の賃貸借契約を解除されてしまうこともあります。
この解除権は無制限に認められるわけではありませんが(現在の裁判例では、仮に借地権を無断で譲渡したとしても「賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない」事情があると裁判所で判断されれば、解除は無効である、とされています。)、判断の基準が難しいので、きちんと地主の承諾をとっておけば紛争はさけられるはずです。
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