共同相続人の担保責任 |
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共同相続人の担保責任 遺産分割によって各共同相続人が負う担保責任については、民法911条から913条にその定めがあります。 (共同相続人間の担保責任) 民法第911条 各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。 (遺産の分割によって受けた債権についての担保責任) 民法第912条 各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、その分割の時における債務者の資力を担保する。 2 弁済期に至らない債権及び停止条件付きの債権については、各共同相続人は、弁済をすべき時における債務者の資力を担保する。 (資力のない共同相続人がある場合の担保責任の分担) 民法第913条 担保の責任を負う共同相続人中に償還をする資力のない者があるときは、その償還することができない部分は、求償者及び他の資力のある者が、それぞれその相続分に応じて分担する。ただし、求償者に過失があるときは、他の共同相続人に対して分担を請求することができない。 各相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負います。 共同相続人は「売主と同じ」担保責任を負いますから、代金の減額、解除、損害賠償がその内容となります。 既に遺産に属さなくなった不動産を遺産分割の対象とした審判が確定したときは、審判により当該不動産を取得するものとされた相続人Aは、他の共同相続人に対して民法911条、563条3項により損害賠償を請求することができ、この場合、審判時に相続人Aが右事実を知っていたとしても、審判は家庭裁判所が行なうものであるから、右相続人が同法563条にいう「善意」でないとしてその損害賠償請求権の取得を否定されることはないとした事例があります。 (権利の一部が他人に属する場合における売主の担保責任) 民法第563条 売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。 2 前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。 3 代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。 確定判決により、遺産分割審判の対象物件の一部が遺産でないとされた場合、特段の事情のない限り、遺産でないとされた物件についての前の審判による分割の効力のみが否定され、その余りの物件についての分割は有効であると解すべきであり、本件では、特段の事情はないとして、遺産分割審判の無効を理由とする再分割申立を却下した事例があります。 この場合、遺産でないとされた物件を取得するとされた相続人は、民法911条に基づき、他の相続人に対し、その相続分に応じた担保責任を求めることになると解しています。 民法563条の権利は、権利者が善意の時は事実を知った時から、悪意のときは契約の時から1年以内に行使しなければなりません。 民法第564条 前条の規定による権利は、買主が善意であったときは事実を知った時から、悪意であったときは契約の時から、それぞれ1年以内に行使しなければならない。 遺産分割審判の民法911条、564条の除斥期間は、債権者が既にその財産が売却されたため相続人において取得できないこと、それを債権者に取得させる家庭裁判所の審判がされたこと、その審判が確定したことの3つを知った時から進行するとした事例があります。 瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡を受けた時から進行します。 控訴人ら各自は、損害額に被控訴人ら各自の具体的相続分の全体に対する割合を乗じた額を被控訴人ら各自に請求できることになるところ、その額は控訴人らの被控訴人らに対する請求額を上回っているとして請求を認めた事例があります。 民法911条から913条の規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは適用されません。 (遺言による担保責任の定め) 民法第914条 前3条の規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、適用しない。 無料法律相談はこちら Amazonで相続を調べる |
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