遺産分割対象財産(株式)
家業を株式会社に法人化した際、父親は長男、長女を単なる名義株主とするために株式払込金を支出したのではなく、実質的株主を保有させるために株式の払込義務を同人らに代わって履行したとして、長男、長女の株主権存在を認めた事例があります。
株式は可分給付を目的とする債権とは解しがたいから、これについては共同相続が開始した場合、各共同相続人がその相続分に応じた数の株式を承継するとは断じ難く、相続財産たる株式は相続人全員に共同的に帰属し、共同相続人はこれにつき相続分に応じた持分を取得するにすぎません。
株式が2以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者1人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができません。
会社法第百六条
株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。
旧商法203条2項は、株式が数人の共有に属するときは、共有者は、株主の権利を行使する者1人を定めることを要すると定めていましたが、同条項に定める会社に対する権利行使者の指定なくしてされた訴えに関し、次の判例があります。
旧商法第二百三条
1 共同シテ株式ヲ引受ケタル者ハ連帯シテ払込ヲ為ス義務ヲ負フ
2 株式ガ数人ノ共有ニ属スルトキハ共有者ハ株主ノ権利ヲ行使スベキ者一人ヲ定ムルコトヲ要ス
3 株主ノ権利ヲ行使スベキ者ナキトキハ共有者ニ対スル会社ノ通知又ハ催告ハ其ノ一人ニ対シテ之ヲ為スヲ以テ足ル
この場合、共同相続人は株主権を行使する者1人を定めて、これを会社に通知しなければならず、この者に限って会社に対する株主権を行使することができ、株主権行使者を定めず相続分に応じた持分を有するにすぎない相続人による株主総会決議取消の訴えは不適法とされます。
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