共同相続人に対する地代請求
相続人甲の持分を相続した乙は、被相続人甲の死亡に伴い、各土地の持分を相続により取得した共有者である丙丁に対して、本件各土地の地上建物の収去及び本件各土地の明渡しを当然には請求することはできません。
また、丙に対して本件各土地の登記済権利証の引渡などの請求もすることはできません。
しかし、丙丁が共有物である本件各土地の各一部を単独で占有することができる権限につき特段の主張、立証のない本件においては、乙はこの占有により乙の持分に応じた使用が妨げられているとして、丙丁に対して、持分割合に応じて占有部分に係る地代相当額の不当利得金ないし損害賠償金の支払を請求することができると解すべきです。
乙は、甲の死亡によるその持分の相続取得の主張をしていないが、前記各事実を当事者の主張に基づいて確定した以上は、適切に釈明権を行使するなどした上で、これらを斟酌し、乙の請求の一部を認容すべきかどうかについて審理判断するべきであるとされています。
(地代等増減請求権)
借地借家法第11条 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2 地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年1割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3 地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年1割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
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