取得時効による登記
時効取得者は、前主とは当事者の立場にあるので、登記なしで、権利を主張できます。
不動産の時効取得者は、時効完成時の原権利者に対しては、原権利者が時効完成後当該不動産を第三者に譲渡し、その後売買契約を合意解除した場合でも、登記なくして時効による所有権の取得を主張することができます。
時効取得者は、取得時効の進行中に原権利者から所有権の譲渡を受け、その旨の登記を受けた者に対して、登記なしで、時効による所有権を主張できます。
取得時効の進行中に原所有者から所有権の譲渡を受け、時効完成後にその旨の登記を受けた者に対しても同様に解されています。
土地所有者甲が乙を買主とする売買契約をして所有権移転の請求権仮登記後、丙が乙から売買予約上の買主たる地位を譲り受け、右登記につき移転の附記登記を経由した。
他方で、土地占有者丁は、昭和45年に10年の取得時効が完成した場合、乙が有していた買主の地位はそのまま丙の地位となったのであり、丙のために仮登記により保全されていた買主たる地位は丁につき取得時効が完成したことにより消滅したと解すべきであり、したがって、買主である丙は時効の当事者であり、民法177条の第三者ではなく、丁は、時効による所有権の取得を登記なくして丙に対抗することができます。
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
民法第177条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成16年法律第123号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
取得時効完成後に前主から所有権の譲渡を受け、その旨の登記を受けた者は、第三者に該当するので、時効取得者はこれに対しては、登記なしでは時効による所有権の取得を主張できません。
不動産を時効取得した者は、その旨の登記を経ないでいる間に、第三者による登記名義人に対する債務名義に基づいて強制競売手続が開始され強制競売申立記入登記がされたときは、その取得した所有権をもって執行債権者に対抗することができません。
不動産の取得時効が完成しても、その登記がなければ、その後に所有権取得登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗し得ないが、第三者の右登記後に、占有者がなお引き続き時効取得に要する期間占有を継続した場合には、その第三者に対し、登記を経由しなくても時効取得をもって対抗し得ると解されています。
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