相続財産管理人 時効
不動産の時効取得者は、取得時効の進行中に原権利者から当該不動産の譲渡を受けてその旨の移転登記を経由した者に対しては、登記がなくても、時効による所有権の取得を対抗することができます。
不動産の取得時効完成前に原所有者から所有権を取得し時効完成後に移転登記を経由した者に対し、時効取得者は、登記なくして所有権を対抗することができます。
相続財産に関しては、相続人が確定し、管理人が選任され又は破産手続開始の決定があった時より6ヶ月内は時効の完成はありません。
(相続財産に関する時効の停止)
民法第160条 相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
相続人確定、又は管理人選任前、相続財産たる不動産を10年間所有の意思をもって平穏かつ公然、善意無過失に占有したとしても、これによって取得時効は完成しないが、昭和31年12月4日に相続財産管理人が選任された後、6ヶ月を経過した昭和32年6月4日に取得時効の完成を認めた事例があります。
占有者の被相続人生存中における本件土地の占有は管理人としての占有と認めざるを得ない場合、その占有は他主占有であり、その他主占有を自主占有に転換するためには、占有者において自分に占有をさせている所有者が相続人なくして死亡したために占有土地が自分の所有に帰したものと信じたという事実が存在するだけでは不十分であり、民法185条所定事実の存在することが必要であるとされます。
そして、占有者に占有をなさしめた者が相続人なくして死亡した場合、占有者が民法185条所定の意思を表示しようとするときは、相続財産管理人選任の手続をしたうえ、その管理人に対してこれをなすべきであるとされます。
(占有の性質の変更)
民法第185条 権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。
占有は、占有している人がどのような意思をもって物を所持しているかにより、自主占有と他主占有に大別されます。
自主占有とは、所有の意思で物を所持する場合をいいます。
所有権の取得時効は所有の意思をもってする自主占有でなければ認められません。
他主占有とは、所有の意思がなく物を所持する場合をいいます。(他人の物を預かったり、借りたりする場合)
他主占有から自主占有に占有の性質を変更するには、その占有者が自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、または新権原により更に所有の意思をもって占有を始めたものと認められなければなりません。
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