特別縁故者への相続財産の分与
民法958条に基づく家庭裁判所の相続人捜索公告の期間内に相続人である権利を主張する者がなかった場合において相当と認めるときは、家庭裁判所は、
@被相続人と生計を同じくしていた者
A被相続人の療養看護に努めた者
Bその他被相続人と特別の縁故があった者
の請求によって、これらの者に清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができます。
(相続人の捜索の公告)
民法第958条 前条第1項の期間の満了後、なお相続人のあることが明らかでないときは、家庭裁判所は、相続財産の管理人又は検察官の請求によって、相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、6箇月を下ることができない。
(権利を主張する者がない場合)
民法第958条の2 前条の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。
(特別縁故者に対する相続財産の分与)
民法第958条の3 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第958条の期間の満了後3箇月以内にしなければならない。
相続人不存在の場合に相続財産を国庫に帰属させて管理させるよりも、被相続人と特別な縁故関係のあった者に与えるほうが被相続人の意思にかない、当該財産の効用も発揮できるというのがその趣旨とされます。
相続権主張の催告期間中に相続人である旨の申出書を提出したことをもって特別縁故者の相続財産分与の申立をしたと解することはできないとされています。
現実に遺産分与を許すべきかどうか、分与を許すとしてその額をいかに定めるかは家庭裁判所の裁量に任され、家庭裁判所は被相続人の意思を尊重し、被相続人と当該縁故者の自然的血族関係の有無、法的血族関係に準ずる内縁関係の有無、生前における交際の程度、被相続人が精神的、物質的に庇護恩恵を受けた程度、死後における実質的供養の程度その他諸般の事情を斟酌してこれをなすべきであるとされます。
特別縁故者2人のそれぞれに相続財産を分与した原審判に対し、その1人から即時抗告がされた事案で、原審判を変更して抗告人の相続財産分与の申立を却下し、原審申立人の分与額を減額した事例があります。
また、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に務めた者、その他相続人と特別の縁故があった者との間の順位に優劣はないとされます。
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