相続財産管理人の権限外行為
相続財産管理人が民法103条に定めた権限を越える行為をするには家庭裁判所の許可を得てしなければならないとされていますので、管理人は、原則として管理行為のみをすることができます。
(権限の定めのない代理人の権限)
民法第103条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
1.保存行為
2.代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
(不在者の財産の管理人に関する規定の準用)
民法第953条 第27条から第29条までの規定は、前条第1項の相続財産の管理人(以下この章において単に「相続財産の管理人」という。)について準用する。
(管理人の権限)
民法第28条 管理人は、第103条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。
管理行為に対するのが処分行為です。
処分行為は、財産権の設定、移転、変更、消滅をもたらす法律行為及び財産の毀損、性質を変ずる事実行為に大別されます。
相続財産管理人が民法103条所定の権限を越える行為をしようとする場合には民法953条、28条によりあらかじめ家庭裁判所の許可を得ることを要し、しかも本件のような控訴の取下げは民法103条所定の権限を越える行為であると解すべきところ、管理人は家庭裁判所の許可をあらかじめ得ることなくして控訴取り下げの申立をしたのであるから、この申立は無効であるとされます。
死因贈与者(被相続人)は書面によらない死因贈与の取消権を有しますが、右取消権は一身専属権ではないために相続財産の管理人はこれを承継し、管理人は家庭裁判所の許可を得て被相続人の書面によらない死因贈与を取消すことができます。
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