第二種財産分離審判手続




杉並区の行政書士



第二種財産分離審判手続

スポンサードリンク
杉並区の行政書士相続の知識5>第二種財産分離審判手続

第二種財産分離審判手続

第二種財産分離は、相続財産が債務超過の場合、相続人の債権者の利益を保護するため、その申立により行なわれます。

民法950条に基づく第二種財産分離の申立は、甲類審判事項です。

(相続人の債権者の請求による財産分離)
民法第950条 相続人が限定承認をすることができる間又は相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、相続人の債権者は、家庭裁判所に対して財産分離の請求をすることができる。
2 第304条、第925条、第927条から第934条まで、第943条から第945条まで及び第948条の規定は、前項の場合について準用する。ただし、第927条の公告及び催告は、財産分離の請求をした債権者がしなければならない。


@申立権者

相続人の債権者です。

A申立期間

相続人が限定承認をすることができる間、又は相続財産が相続人の固有財産と混同しない間に請求します。

混合とは、相続財産と相続人の固有財産とが事実上識別することが不可能又は著しく困難な状態をいいます。

B管轄

相続開始地の家庭裁判所です。

C添付書類

申立人・相続人・被相続人の戸籍謄本

利害関係を証する書面

債権証書など

財産目録

D審判手続

申立権者が、申立の期間に請求し、申立の理由があると認められるとき家庭裁判所は財産の分離を命ずる審判をします。

その他管理に必要な処分を命ずることができます。

相続財産の分離制度は、相続財産と相続人の固有財産との混合によって相続債権者又は相続人の債権者の債権回収上不利益が生ずるのを防止するための手段であるから、その趣旨に照らし、家庭裁判所は、相続財産分離の請求があったときは、財産分離の必要性がある場合に限りこれを命ずる審判をなすべきものとされています。

本件の場合、相手方(相続人)は、夫とともに農業を営んで年収200万円を得ており、他に夫は出稼ぎにより年収80万円を得て、相当の生活程度を維持し他に債務も存在せず、将来とも他から債務を負うべき事由のないこと、抗告人は本件相続が開始してから3年8ヶ月余りも経過後に本件申立をしていること、相手方はこの間に家屋を新築したことに伴う債務が生じ、これに関連して相続財産の一部を売却したことはあるが、そのほかは、固有の債務を負担したことはないと認められ、抗告人は本件で主張する債権額に照らしても一般債権保全の方法によっても、その主張債権を保全しうるというべきであるとして申立は認められませんでした。

相続財産の分離を命ずる審判に対しては、相続人から、申立却下の審判に対しては、相続債権者、受遺者が即時抗告をすることができます。



家庭裁判所が財産の分離を命じたときは、その請求をした者は、5日以内に、一切の相続債権者及び受遺者に対し、財産分離の命令があったことを及び一定の期間内に配当加入の申出をすべき旨を公告しなければなりません。

(相続債権者又は受遺者の請求による財産分離)
民法第941条 相続債権者又は受遺者は、相続開始の時から3箇月以内に、相続人の財産の中から相続財産を分離することを家庭裁判所に請求することができる。相続財産が相続人の固有財産と混合しない間は、その期間の満了後も、同様とする。
2 家庭裁判所が前項の請求によって財務分離を命じたときは、その請求をした者は、5日以内に、他の相続債権者及び受遺者に対し、財産分離の命令があったこと及び一定の期間内に配当加入の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、2箇月を下ることができない。
3 前項の規定による公告は、官報に掲載してする。


財産分離を請求した者には、公告若しくは催告を怠り、それによって他の債権者若しくは受遺者に弁済をすることができなくなったときは、これによって生じた損害を賠償する責任があります。

(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
民法第947条 相続人は、第941条第1項及び第2項の期間の満了前には、相続債権者及び受遺者に対して弁済を拒むことができる。
2 財産分離の請求があったときは、相続人は、第941条第2項の期間の満了後に、相続財産をもって、財産分離の請求又は配当加入の申出をした相続債権者及び受遺者に、それぞれその債権額の割合に応じて弁済をしなければならない。ただし、優先権を有する債権者の権利を害することはできない。
3 第930条から第934条までの規定は、前項の場合について準用する。

(不当な弁済をした限定承認者の責任等)
第934条 限定承認者は、第927条の公告若しくは催告をすることを怠り、又は同条第1項の期間内に相続債権者若しくは受遺者に弁済をしたことによって他の相続債権者若しくは受遺者に弁済をすることができなくなったときは、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。第929条から第931条までの規定に違反して弁済をしたときも、同様とする。
2 前項の規定は、情を知って不当に弁済を受けた相続債権者又は受遺者に対する他の債権者又は受遺者の求償を妨げない。
3 第724条の規定は、前2項の場合について準用する。


相続債権者と受遺者とは、相続財産で弁済を受けることができなかった残額については、相続人の固有財産から弁済を受けることができます

しかし、この場合には、相続人の債権者の方が優先します。

(相続人の固有財産からの弁済)
民法第948条 財産分離の請求をした者及び配当加入の申出をした者は、相続財産をもって全部の弁済を受けることができなかった場合に限り、相続人の固有財産についてその権利を行使することができる。この場合においては、相続人の債権者は、その者に先だって弁済を受けることができる。


無料法律相談はこちら


Amazonで相続を調べる
カテゴリ
相続の限定承認
相続の限定承認申述審判
限定承認の相続財産 損害賠償請求権
限定承認の相続財産 生命保険金
限定承認の相続財産 簡易生命保険金
限定承認の相続財産 仮登記財産
限定承認の相続財産 生前売却財産
相続財産の処分・保存
相続の限定承認申述受理審判手続
限定承認の相続財産管理人
限定承認の相続財産管理人の権限
限定承認後の清算
限定承認の税金
限定承認の財産目録
限定承認の公告
限定承認の公告の官報掲載
限定承認の相続債権者の請求
強制執行中の限定承認
限定承認後の強制執行
相続債権者の相殺
限定承認の公告・催告期間満了後の弁済
限定承認の弁済期未到来
限定承認の相続財産の換価
限定承認の競売手続への参加
限定承認の損害賠償責任
限定承認で残余財産がある場合
限定承認の法定単純承認事由
限定承認の鑑定人選任審判
限定承認の競売差止めの鑑定人選任審判
限定承認の相続財産の管理義務
限定承認の相続財産の保存・管理処分審判
限定承認の取消し
限定承認の取消審判
相続放棄の申述
相続放棄と遺留分放棄
相続開始前の持分権の相続放棄
相続放棄契約に基づく交付金
相続放棄の代理
相続放棄の審理
相続放棄と熟慮期間
相続放棄と法定単純承認
相続放棄申述の審理の方法
相続放棄申述の審判
相続放棄の無効
相続放棄の錯誤無効
相続放棄の動機の錯誤無効
相続放棄の追認
相続放棄と詐害行為取消権
相続放棄と登記
二重資格の相続放棄
相続放棄却下の審判
相続放棄申述受理証明申請
相続放棄申述の追認申述
相続放棄却下の抗告許可申立
相続放棄者の財産管理義務
相続放棄の財産保存・管理処分の申立
相続放棄の取消し
相続放棄の取消審判
第一種財産分離審判
第一種財産分離審判手続
第二種財産分離審判手続
財産分離の相続財産管理処分審判
第一種財産分離の相続債務の清算
第二種財産分離の相続債務の清算
相続財産管理人 相続人の不存在
相続財産管理人 相続財産
相続財産管理人 特別代理人
相続財産管理人 時効
相続財産管理人の選任審判
相続財産管理人の職務
相続財産管理人の公告・催告
相続財産管理人の債務弁済と遺贈の履行
相続財産管理人の債務弁済と強制執行
相続財産管理人の債務弁済と時効
相続財産管理人の相続人捜索公告
相続財産管理人 残余財産の国庫帰属
相続財産管理人の国庫帰属財産事務
相続財産管理人 被相続人が外国人
相続財産管理人 財産目録
相続財産管理人 不動産の管理
相続財産管理人 動産の管理
相続財産管理人 債権申出の催告
相続財産管理人 債権申出の公告
相続財産管理人 債権の申出
相続財産管理人の権限外行為
相続財産管理人の処分行為
所有権の時効取得
取得時効の対象物
取得時効の自主占有
取得時効の自主占有の判例1
取得時効の自主占有の判例2
取得時効の自主占有の判例3
取得時効の平穏・公然の占有
取得時効の占有の承継
取得時効の善意・無過失
取得時効の占有承継と無過失
取得時効の援用
取得時効の中断
取得時効の中断事由
取得時効中断の効果
取得時効による登記
相続財産の取得時効
特別縁故者への相続財産の分与
特別縁故者 被相続人と生計を同じくしていた者
特別縁故者 被相続人の療養看護に務めた者
特別縁故者 その他被相続人と特別の縁故があった者
特別縁故者の死後縁故等の判例
特別縁故者の申立後の死亡
特別縁故者の申立前の死亡
特別縁故者の相当期間経過後の申立
特別縁故者の遺言無効確認の訴え
特別縁故者の分与の対象財産
特別縁故者の相続財産分与の審判
特別縁故者の相続財産分与の審判手続
特別縁故者の財産分与の審判確定後
特別縁故者の財産分与審判の取消し
特別縁故者と共有持分帰属の時期
免責事項
当サイトの情報を利用してトラブル等が発生しましても、管理人は一切責任を負うものではありませんのでよろしくお願いいたします。
Copyright (C)杉並区の行政書士All Rights Reserved