取得時効の自主占有の判例3
本件土地は、被相続人亡き甲の妻乙と甲の兄弟姉妹ABCDEの共有財産であるところ、乙からその共有持分のみならず、ABCDEの共有持分を含む所有権全部を買い受けた買主には、代金全額を完納した日からABCDの持分権につき、自主占有があったとして、時効による所有権取得を認めた事例があります。
甲はAから本件土地の贈与を受けて、その登記を経由した後、同土地に建物を所有している乙に建物収去土地明渡しを請求したところ、乙は、その祖父BがAから本件土地を買い受けてその占有を始め、その後同土地上に建物を建築し、Bの死後はC(乙の父)がその占有を承継し、その死亡前占有を継続したのだから、占有開始から20年後に本件土地の所有権を取得し、乙はこれを相続していると主張したとして、所有権確認等を請求した事案で、BのAからの買受による自主占有は否定し、CはBを相続した時、新権原により自主占有を始めたとして、乙の時効取得を認めた事例があります。
(占有の性質の変更)
民法第185条 権原の性質上占有者に所有の意思がないものとされる場合には、その占有者が、自己に占有をさせた者に対して所有の意思があることを表示し、又は新たな権原により更に所有の意思をもって占有を始めるのでなければ、占有の性質は、変わらない。
共有土地につき、占有中の共有者2人が他の共有者の共有持分権を10年の経過による時効により所有権を取得したと認めた事例があります。
不動産を共有する数名の者全員が共同原告となり、共有権に基づき所有権移転登記手続きを求める訴訟は、固有必要的共同訴訟と解されていますが、被相続人の時効取得を理由に相続人の一部の者がした土地処分禁止仮処分申請を適法とした事例があります。
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