相続放棄と熟慮期間
申述者が自己のために相続の開始があったことを知らなかったと主張した場合、その事実の有無を審理し、判断します。
この点を審理しないでされた却下の審判は審理を尽くしていないものとして即時抗告の理由になります。
相続放棄申述が真に熟慮期間内にされたか否かの点は、終局的に民訴訟手続において確定されるべき事柄であって、家庭裁判所は一応審査するに止めるべきにもかかわらず、原審判は相続放棄申述受理の審判の審理の範囲を超えて審理判断した違法があるとの即時抗告に対して、相続放棄申述受理が家庭に関する事件につき後見的役割を担う家庭裁判所の審判事項とされていること及び相続関係はその性質上できる限り早期に安定化を図る必要があることからしても、家庭裁判所は申述が法定の熟慮期間内になされたものか否かの実質的要件をも審理判断すべきであること、審判手続で申述が却下されると相続人は訴訟手続で申述が有効であることを主張できなくなるから申述受理の審判での審理は一応のものに止め、申述の要件を欠くことが明白な場合においてのみこれを却下することができ、そうでない限り申述を受理し、その効力の有無について本格的審理を必要とするときは、判断を民事訴訟法に委ねるべきであるとされます。
原審においては一応の審理が行なわれたに止まると認められること、その結果、本件熟慮期間の起算日は抗告人が被相続人が死亡したことを知った日であるというべきであり、本件申述は熟慮期間経過後のものであることは明白というべきであるから、これを却下した原審判は相当であるとしました。
無料法律相談はこちら
Amazonで相続を調べる
|
|