相続放棄と遺留分放棄
民法上、相続人が相続開始前に相続放棄することは認められていません。
相続開始前の遺留分放棄許可申立における相続人の相続放棄の意思表明は法律的効力を有せず遺留分放棄の縁由にすぎないとされ、被相続人が遺言又は生前処分をして当該相続人に事実上相続をさせないことができたのに被相続人がこれをしないままで死亡した以上、相続開始前に当該相続人がした遺留分放棄はなんら法定効果を生じないものであり、当該相続人が相続権を主張するのになんら妨げがないから、当該相続人が相続権を主張することは正当な権利行使であって、それが権利濫用に当たり、若しくは信義則に反するとの他の相続人の主張は採用されませんでした。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
民法第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
(相続の放棄の方式)
民法第938条 相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
(相続の放棄の効力)
民法第939条 相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
(相続の放棄をした者による管理)
民法第940条 相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
2 第645条、第646条、第650条第1項及び第2項並びに第918条第2項及び第3項の規定は、前項の場合について準用する。
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