相続放棄と法定単純承認
遺産分割協議は法定単純承認事由に該当するというべきであるが、相続人が多額の相続債務の存在を認識していれば当初から相続放棄の手続をしていたものと考えられ、相続放棄の手続を採らなかったのが相続債務の不存在を誤信していたためであり、被相続人と相続人の生活状況や他の共同相続人との協議内容によっては本件遺産分割協議が要素の錯誤によって無効となり法廷単純承認事由の効果も発生しないと見る余地があるとして、相続放棄の申述を却下した原審判を取消して更に審理を尽くさせるため差し戻した事例があります。
申述人らの行為が法定単純承認事由に該当するとして相続放棄申述受理申立を却下した審判に対する即時抗告審において、被保険者死亡の場合はその相続人に支払う旨の約款により支払われる死亡保険金は、特段の事情のない限り、被保険者死亡時における相続人であるべき者の固有財産であるから、抗告人らによる死亡保険金の請求及び受領は、相続財産の処分に当たらないと解した事例があります。
申述人らの行為が法定単純承認事由に該当するとして相続放棄申述受理申立を却下した審判に対する即時抗告審において、被相続人の猟銃事故共済について、自損事故共済金の支払を受けられるか否かの回答を得る目的で抗告人が試みた共済金請求は、民法915条2項の財産の調査にすぎず、相続財産の一部の処分に当たらないと解した事例があります。
(相続の承認又は放棄をすべき期間)
民法第915条 相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
2 相続人は、相続の承認又は放棄をする前に、相続財産の調査をすることができる。
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