特別縁故者の死後縁故等の判例
被相続人と直接縁故関係がない場合でも、申立人の先代と被相続人との特別縁故関係を付加、総合して判断できるとした事例があります。
被相続人が放浪中に姉の遺産を相続後死亡した場合には、亡き姉と申立人間の特別縁故関係を考慮したり、又は、被相続人が父の遺産を相続して11ヵ月後に死亡した場合には亡き父と申立人の亡き夫間の特別縁故関係を考慮したりして、分与申立を認めた事例があります。
死後縁故について、肯定例として、被相続人の生存中未だ出生していなかったということは、被相続人の特別縁故者となることの妨げにならないと解した事例があります。
死後縁故を肯定する理由として、民法958条の3にいう特別縁故とは、被相続人の親族とか友人など単なる縁故に加えて被相続人に関連する客観的事実を要求しているのであって、被相続人の親族という縁故に加えて被相続人の祭祀や遺産を管理している者は特別縁故者にあたるとして、死後縁故を含まないと解する理由はないと解しました。
(特別縁故者に対する相続財産の分与)
民法第958条の3 前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2 前項の請求は、第958条の期間の満了後3箇月以内にしなければならない。
死後縁故を認めない立場は、民法958条の3にいう特別縁故とは、被相続人の生前に被相続人と縁故があった者に限り、被相続人の死後に事実上管理したり、被相続人の祭祀を行なってきたりした者を含むものではないと解します。
被相続人の死後、その葬儀、供養などを行なった事実は生前の特別縁故関係の存否程度を推測させる事情に止まり、それ自体は特別縁故性を具有するものではないと解した事例があります。
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