相続放棄申述の審判
家庭裁判所は、相続放棄の申述を受理するときは、申述書にその旨を記載し、家事審判官がこれに署名又は記名して押印しなければなりません。
相続放棄の申述の受理は、審判であっても、適式な申述がなされたことを公証するものであるから、申述の受理に家事審判官の押印のみがあってその署名又は記名を欠くことは妥当ではないにしても、受理を当然に無効とするものではなく、申述が申述者の真意に基づき敵式になされたものである限り、その実体上の効力を妨げるものでないとされます。
相続放棄の申述の受理は、事実証明の行為にすぎず、申述受理によって放棄の効力発生が確定するわけではありません。
放棄の効力は、放棄の効果を前提とする法律関係を訴訟の目的とする訴訟で裁判所が前提問題として審理し、判定します。
相続放棄の申述の受理は告知の必要がないとされています。
直ちに受理の証明を求めてこない者に対しては受理の通知がされています。
相続放棄の申述を受理する審判に対して不服申立を認める規定はありません。
したがって、受理の審判に対して即時抗告をすることはできません。
相続放棄の申述受理後、申述者はその申述書の偽造を理由として申述受理の審判取消の申立をすることはできません。
民法919条1項に照らし1度受理された相続放棄の撤回は許されません。
(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
民法第919条 相続の承認及び放棄は、第915条第1項の期間内でも、撤回することができない。
2 前項の規定は、第1編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
3 前項の取消権は、追認をすることができる時から6箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から10年を経過したときも、同様とする。
4 第2項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
相続放棄をした相続人が遺産分割調停に利害関係人として参加して相続人から贈与により農地を取得した場合、権利の移転につき県知事の許可の要否について、原審は実質的には相続放棄を撤回して遺産分割により権利を取得した場合と変らないとして不要と解しましたが、上告審は一度受理された相続放棄の撤回は許されないこと、家事調停による農地の移転と農事調停による場合と同視できず、農地法による遺産分割による場合に当たらないとして原判決を破棄して差し戻しました。
申述人は、家庭裁判所の書記官に対して、相続放棄申述受理証明書の交付を求めることができます。
また、相続債権者等の事件の関係人は、家庭裁判所が相当である認めたとき、書記官から相続放棄申述受理証明書の交付を受けることができます。
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